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▼ 裁決事例集 No.72 - 169頁
 請求人は、所有していた預託金会員制ゴルフ会員権(以下「本件旧会員権」という。)に係るゴルフ場の経営法人の民事再生法に基づく再生計画に従い、本件旧会員権に係る預託金債権の全額が切り捨てられるとともに付与された預託金債権のないゴルフ場施設の優先的施設利用権のみのゴルフ会員権(以下「本件新会員権」という。)を譲渡したが、その譲渡所得の金額の計算に当たって、本件旧会員権の取得に要した金額から再生計画により切り捨てられた預託金相当額を差し引いた価額を本件新会員権の取得に要した費用とすべき旨主張する。
 しかしながら、所得税法第33条第1項の規定の内容及び譲渡所得課税の趣旨からすれば、資産の譲渡による譲渡所得の計算に当たっては、その譲渡時点と取得時点で資産の同質性が維持されている必要があり、譲渡所得の金額の計算上控除されるべき取得費とは、特段の定めがない限り、譲渡資産と同質性が維持された資産の取得に要した金額をいうものと解されるところ、預託金会員制ゴルフ会員権は、優先的施設利用権、預託金返還請求権及び年会費納入等の義務からなる契約上の地位を総称するものと解されることから、預託金会員制ゴルフ会員権の取得に要した金額が、その後のゴルフ会員権の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上取得費として控除されるには、取得時点における預託金会員制ゴルフ会員権としての上記の契約上の地位が、譲渡時点において維持されている必要があると解される。
 そうすると、本件旧会員権は、優先的施設利用権及び預託金返還請求権を有する預託金会員制ゴルフ会員権であり、一方、本件新会員権は、優先的施設利用権のみで預託金返還請求権のないゴルフ会員権であることから、本件新会員権における契約上の地位(資産)は、本件旧会員権における預託金返還請求権を失ったことによりこれを要素とする契約上の地位(資産)としての同一性を失っているので、契約上の地位としての性質に変容があったものであり、本件旧会員権と本件新会員権は、別個の資産というべきである。そして、本件旧会員権の取得価額を本件新会員権の取得価額に引き継ぐ旨の所得税法上の規定もないことから、本件新会員権の譲渡所得の計算に当たって、本件旧会員権の取得価額を引き継いで計算することはできない。したがって、本件新会員権の取得価額は、その取得時の時価相当額とするのが相当である。
平成18年11月29日裁決




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