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▼ 裁決事例集 No.67 - 350頁

 請求人は、本件土地の法人に対する譲渡について、譲渡者である請求人と譲受法人とは、恣意的に利益を得ることを目的として譲渡価額を決定したものではないので、所得税法第59条の低額譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、低額譲渡に該当するか否かは、譲渡価額が時価の2分の1に満たないか否かによって判断すべきであるから、当事者の具体的な意図、目的及び恣意性の有無を問わず、この規定が適用されるものである。
 請求人は、本件土地と譲受法人が別途譲渡した近傍土地とは、所在する区域、利用価値、形状等の条件に差異はなく、また、当該近傍土地は第三者である仲介業者が複数介在して取引されたものであるから、その売買実例価額が本件土地周辺の時価を示しているものである旨主張する。
 しかしながら、本件土地と近傍土地とは、同じ市街化調整区域内に所在し、国道を隔てた極めて至近距離に存することが認められるものの、本件土地はそのすべてが既存宅地の確認を受けているのに対して、近傍土地は、その一部は宅地であるものの、他は宅地化の許可が受けられていない雑種地及び原野であり、また、国道に面する間口距離が相異するなど、その立地条件、利用価値、区画形状等が大きく異なるので、近傍土地の売買実例価額は本件土地周辺の時価を示すものとはいえない。
 請求人らは、原処分庁提示の売買実例は、具体的な所在も不明で本件土地周辺の時価を適正に示しているとはいえず、譲受法人が近傍土地を売買した経緯等を参考にすると、原処分庁が依頼した不動産鑑定士が評価した価額では本件土地は売買できず、また、本件土地は賃貸されていており、自用地より地価が安くなるので、低額譲渡には該当しない旨主張する。
 しかしながら、原処分庁は、本件土地と時間的、場所的及び物件的、用途的同一性の点で類似した物件の売買実例3件を採用し、各種格差を考慮の上、1当たりの価額を算出しており、当審判所においても相当と認められる。
 また、不動産鑑定士による鑑定評価額について、その鑑定方法及び価額は当審判所においても相当と認められる。さらに、本件土地はその地代等の状況から借地権の設定のある土地とは認められず、更地としての価額を減ずるべき理由はないと認められる。
 以上のとおり、本件土地の時価の算定に当たり、原処分庁が採用した売買実例に基づいて算定した価額と鑑定評価額が同程度の価額であること、原処分庁が買い進みや売り急ぎの事情や安全性を考慮し、鑑定評価額をもって本件土地の価額と認定したことは相当であり、請求人は、本件土地を時価の2分の1に満たない価額で法人に譲渡したと認められるから、請求人の主張は採用できない。

平成16年3月8日裁決




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