▼ 平成23年11月25日裁決 《ポイント》 非居住者が日本国内で行う事業から生じた所得には、国内に恒久的施設がない限り日本における所得税は課されない。 この事例は、非居住者である請求人が行うインターネット販売において、輸入した商品の発送業務等を行うアパート及び倉庫が恒久的施設に当たるか否かが争われたものである。 《要旨》 請求人は、請求人が事業の用に供していた本件アパート及び本件倉庫は、在庫商品を保管し、倉庫業務を行うとともに、発送業務を行うことのみを目的とした「準備的又は補助的な性格の活動」を行う場所であるから、恒久的施設に該当しない旨主張する。 しかしながら、請求人が行う輸入販売の取引は、顧客の注文に応じてその都度商品を仕入れて輸入販売する形態のものではなく、あらかじめ輸入しておいた在庫商品を顧客の注文に応じて販売する形態のものであるところ、請求人が本件アパート又は本件倉庫を賃借してまで上記のような在庫販売形態を採用したのは、そうすることによって顧客の発注から納品までの期間を短縮させて顧客の需要に応えるとともに、輸入配送費用を節減することにあったものと認められるから、本件アパート及び本件倉庫は、事業の遂行及びこれによる利得の実現にとって不可欠の機能を果たすものであったということができるとともに、顧客に発送すべき商品に日本語版取扱説明書等の添付という経済的付加価値を付与する機能を有するということからすると、これらは、顧客に販売するための商品の在庫の保管という単なる倉庫の機能に留まるものではなく、事業の遂行による利得の実現にとって重要かつ必要不可欠の機能を有しているということができるのであって、本件アパート及び本件倉庫において行われる活動の全体は、本件事業にとって準備的又は補助的な範囲を超えるものというべきであるから、恒久的施設に該当する。 《参照条文等》 所得税法第164条第1項第1号、第165条、第168条 日S租税条約第1条、第5条、第7条 |
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遠洋漁業を行う船舶に乗船させた外国人漁船員の人的役務の提供の対価は国内源泉所得に該当するから、当該対価の支払の際に源泉徴収する義務があるとした事例
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