▼ 平成30年12月13日裁決 《ポイント》 本事例は、原処分庁が請求人の所得金額を推計計算する過程で採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、その平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められるものの、その選定した類似同業者のうちに上記の類似同業者抽出基準に該当しない者が含まれていたたことから、これを除いたところで所得率の平均値を算定し、当該平均所得率をもって請求人の所得金額を算定するのが相当であるとしたものである。 《要旨》 請求人は、原処分庁による税務調査に可能な限り対応しており、また、必要経費に係る集計表及び領収書により必要経費の額を算定することもできるから、本件に推計の必要性はなかった旨、また、原処分庁による推計は、請求人と業態の異なる者を類似同業者とした点で合理性を欠く旨、さらに、調査の際に帳簿の提示を拒否した事実はなく、帳簿を保存していたのであるから、消費税については仕入税額控除の規定が適用されるべきである旨主張する。 しかしながら、本件における調査の経緯からすれば、原処分庁は、請求人の帳簿不提示により、その事業所得の金額を実額で算定することができす、また、請求人の提示した集計表に信用性を認めることはできないから、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。また、原処分庁がその推計の際に採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められる。ただし、原処分庁が類似同業者として選定した者のうちに所定の抽出基準に該当しない者が含まれていたため、これを除いた所得率の平均値をもって請求人の所得金額を算定するのが相当である。 さらに、本件における調査の経緯からすると、請求人は適時に提示することが可能なように態勢を整えて帳簿及び請求書等を保存していたものということはできないから、請求人は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する仕入税額控除の適用を受けることはできない。 《参照条文等》 所得税法第156条 消費税法第30条第1項、第7項 《参考判決・裁決》 最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決(民集58巻9号2458頁) |
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▼ 平成30年12月13日裁決
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