TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.76 - 42頁
 原処分庁は、FX取引に係る所得の申告義務等については、FX取引先の顧客に対する周知状況からみて、請求人は認識し得る状況にあったこと、FX取引に係る雑所得の金額が、請求人の各年分の給与所得の金額の約14倍から16倍と請求人にとって多額の金額となること、及び請求人は平成18年分の給与所得者に係る年末調整に際し、住宅借入金等特別控除申告書の「年間所得の見積額」欄を空欄のまま勤務先に提出していることなどの一連の行為をもって、請求人が、本件FX取引に係る真実の所得金額を隠ぺいすることを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をし、その意図に基づいた過少申告をしたとし、これらの行為を総合勘案すれば、重加算税の課税要件を充足している旨主張する。 しかしながら、請求人はFX取引に係る所得の申告義務について、FX取引先からの利用マニュアル及びホームページ上において知ることが可能であったこと、また、請求人のパソコンでFX取引事績を確認すれば売買損益を知ることができたことから、FX取引に係る所得の申告義務及び多額の所得があったことについては認識していたのではないかという疑いも存するものの、FX取引に係る税務上の取扱いについて、請求人が税理士等の専門家に相談したといった事実は認められず、また、当審判所の調査等により把握した本件事実関係の下においては、当初申告当時、請求人は、FX取引に係る所得について、株式の売買等の場合と同様に、源泉分離課税であると誤解していた可能性も否定できず、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を明らかに有していたことまでは認められない。
 また、請求人が、年末調整に際し、住宅借入金等特別控除申告書の「年間所得の見積額」欄を空欄のまま勤務先に提出した行為についても、仮に請求人がFX取引に係る所得が源泉分離課税であると誤解していたとすれば、同欄を空欄にして提出する可能性もあり得るのであり、そのような事実をもって、当初から所得を過少に申告するとの意図を外部からうかがい得るような特段の行為をしたとまでいうことはできない。
 そのほか、請求人には、原始資料等をあえて散逸したり、虚偽の答弁、虚偽資料を提出するなど調査に非協力であったという事実もないことからすれば、原処分庁が主張する事実をもって、直ちに、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上で、その意図に基づいて過少申告をしたものということはできない。
 さらに、当審判所の調査その他本件に関する資料をもってしても、請求人に真実の所得を隠ぺい又は仮装したものと評価すべき行為や事実の存在があったものと認めることはできず、他にこれと異なる認定をするに足る証拠もない。
 したがって、請求人が、国税通則法第68条第1項に規定する「国税の課税標準等又は税額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出」した場合には該当しないというべきである。
平成20年12月18日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30200.html

当初から所得を過少に申告するとの意図を外部からうかがい得るような特段の行為をしたとまでいうことはできないとして重加算税の賦課要件を満たさないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.76 - 42頁  原処分庁は、FX取引に係る所得の申告義務等については、FX取引先の顧客に対する周知状況からみて、請求人は認識し得る状況にあったこと、FX取引に係る雑所得の金...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例


... ▼ 平成25年9月18日裁決 《要旨》  請求人は、形式的審査義務のみを負う源泉徴収義務者において、年末調整における従業員の住宅借入金等特別税額控除額(本件控除額)が過大となったことに気づく...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20200.html

納付書が源泉徴収義務者に送付されなかったとしても源泉所得税の納付遅延につき正当な理由があったとは認められないとした事例


... 裁決事例集 No.24 - 7頁  源泉所得税の納付が遅延したのは、原処分庁から当納期分に係る納付書の送付がなく、また、納付書用紙は税務署等の窓口に備え付けてあることを全く知らなかったためであるから...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...40000.html

本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には該当せず、本件判決を基にして、同規定による更正の請求はできないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.57 - 11頁  請求人は、自己が雑所得の金額の計算の基礎とした本件収入に関し、請求人の勤務先が法人税の課税標準の適否をめぐって提起した法人税更正処分等取消請求事件の訴訟にお...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

給与所得者が通勤に使用している自動車の譲渡による損失の金額を給与所得の金額から控除することはできないとした事例


... 裁決事例集 No.23 - 99頁  本件自動車は、給与所得である請求人が主として勤務先へ通勤する際に利用していたものであり、それに基づいて通勤手当の支給を受けていたことからすれば、同人にとって生活...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人が被った紳士録の掲載料や登録抹消料として支出した金員に係る損失は、詐欺ないし恐喝により生じたものであるから雑損控除の対象とはならないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.70 - 144頁  請求人は、「右翼団体系のLら(以下「本件加害者」という。)から、「人事録の掲載に係る年会費を支払わなければ、あちこちの団体が、場合によっては、勤務先や自宅...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人が、支給された賞与から支払った寄付金である旨主張する金額は、勤務先法人がその関連法人に寄付すべき金額を請求人の賞与に上乗せしたものであり、請求人の寄付金控...


... ▼ 裁決事例集 No.45 - 122頁  請求人は、請求人が勤務先法人より支給された賞与から勤務先法人の関連法人に寄付したものであるから、寄付金控除を認めるべきであると主張するが、次の事実から請求...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

平成18年分については、請求人が養育費の送金は行っておらず長男と「生計を一にするもの」には該当しないことから、また、平成19・20年分については、元妻が請求人よ...


... ▼ 平成23年4月18日裁決 《ポイント》  所得税法第2条第1項第34号に規定する「生計を一にするもの」とは、一般に親族が同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしていることをいうものと解され...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人が海外に在留して報酬を得ていた期間は、請求人は国内に生活の本拠を有していなかったから、当該期間の請求人は非居住者に該当するとした事例


... ▼裁決事例集 No.78 - 63頁  平成16年9月13日から平成18年6月8日までの期間における請求人の日本への滞在は、月に1回程度の頻度、主として週末を含む1日間から5日間にすぎないものであり...

詳細を表示する