▼ 裁決事例集 No.71 - 43頁 「不服がある者」とは、当該処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を害された者をいうと解する。 これを、国税徴収法に基づく債権の差押処分に係る第三債務者についてみるに、同法第62条第2項が、徴収職員は、債権を差し押さえるときは、第三債務者に対しその履行を禁止しなければならない旨規定していることからすると、差押処分によりその債務の履行を禁止される第三債務者は、同処分によって自己の権利又は法律上の利益を直接害されることになる。 したがって、原処分によって本件債権の履行を禁止された第三債務者たる請求人は、原処分について「不服がある者」に当たるというべきである。 審査請求は、違法または不当な処分によって侵害された者の権利利益の救済を図るものであるから、当該処分の取消しを求めるに当たっては、当該審査請求人の「法律上の利益に関係のない違法」を理由とすることはできないと解する(行政事件訴訟法10条1項参照)。 そして、第三債務者は、被差押債権の存否について、国の提起する当該差押債権の取立訴訟等においてこれを主張することができ、被差押債権の全部又は一部が存在しないときは、その部分につき執行が功を奏しないことになるだけであって、そのような債権につき差押処分がされても第三債務者が法律上の不利益を被ることはない。そうすると、第三債務者は、債権の差押処分の取消しを求めるに当たり、被差押債権の不存在を理由とすることはできないというべきであるから、被差押債権の不存在は、第三債務者の「法律上の利益に関係のない違法」であると解するのが相当である。 これを本件についてみると、本件債権の債権者は本件組合ではないという請求人の主張は、本件債権の不存在をその内実とするものであるから、請求人の「法律上の利益に関係のない違法」を理由とするものである。 平成18年3月30日裁決 |
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