TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 平成23年6月23日裁決
《ポイント》
 所得税法は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金であっても、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等を非課税所得から除くこととし、それ以外の本来課税することが適当でない実損害を補てんするための損害賠償金を非課税所得としている。
 この事例は、外国為替証拠金取引の取扱業者らから支払われた金員が、当該取扱業者らの不法行為により、請求人に相当額の実損害を被らせたことにより支払われた損害賠償金であるか否かが争われたものである。
《要旨》
 原処分庁は、本件金員(請求人が、外国為替証拠金取引の取扱業者らに対し、不法行為による損害賠償金の支払を求める訴訟を提起し、同訴訟の裁判上の和解により得た金員)は、本件FX取引(請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)及び取引所FX取引)による売買損益を補てんする機能を有するものであるから、雑所得に係る総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第9条第1項第16号《非課税所得》及び所得税法施行令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》第1項第2号は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金について、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等以外の本来課税することが適当でない「実損害を補てんするための損害賠償金」を非課税所得としているところ、本件FX取引においては、説明義務違反及び誠実義務違反というH社らの不法行為により請求人の資産に損害が加えられたものと認めるのが相当であることからすると、本件金員は、H社らの不法行為により請求人の資産に加えられた実損害(本件FX取引において証拠金として預託した金銭の一部を失った損害)を補てんするために支払を受けた損害賠償金、つまり「実損害を補てんするための損害賠償金」に該当するものと認められる。したがって、本件金員は非課税所得に該当するから、これを雑所得に係る総収入金額に算入すべきとする原処分庁の主張は、採用できない。
《参照条文等》
 所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号
 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第2号、第94条第1項第2号
《参考判決・裁決》
 名古屋高裁平成22年6月24日判決(先物取引裁判例集60号40頁)
 福岡高裁平成22年10月12日判決(先物取引裁判例集61号59頁)




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20500.html

商品先物取引による所得は請求人に帰属すると認められ、また、年末における建玉に係る値洗い損の額は単なる計算上の金額に過ぎず、これを必要経費に算入することはできない...


... ▼ 裁決事例集 No.61 - 83頁  請求人は、本件商品先物取引の委任契約は請求人の手仕舞いの依頼により終了したというべきであるから、当該取引に係る所得は請求人に帰属しない旨主張するが、本件委任...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例


... 裁決事例集 No.38 - 36頁  一定の具体的取引行為が「事業所得を生ずべき事業」に該当するか否かは、結局一般社会通念に照らし当該取引が事業として行われているか否かによって決せられるべきものであ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

有価証券の売買による所得が事業所得ではなく雑所得であるとした事例


... 裁決事例集 No.21 - 19頁  株式の取引が事業に当たるか否かは、一般社会通念に照らして判断するほかはないが、そのためには事業としての社会的客観性が問われるべきであり、この観点からすれば、その...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

有価証券の売買による所得を雑所得とした事例


... 裁決事例集 No.1 - 9頁  有価証券の売買は、継続的に行われているが、売買の実態を総合的に勘案すると、その所得は事業所得ではなく雑所得とすることが相当である。 昭和45年9月30日裁決...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

利息の定めのない一時的な貸付金の元本額を超える返済金額は一時所得ではなく雑所得であるとした事例


... 裁決事例集 No.2 - 5頁  営利を目的とする継続的行為に当たらない一時的な資金の貸付けであり、かつ、利息の定めがない場合においても、その貸付けの時点において、その貸付先の資金の運用により相当額...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為か...


... ▼ 平成30年3月22日裁決 《要旨》  請求人は、競馬の勝馬投票券(馬券)の的中によって得た払戻金に係る所得(本件競馬所得)は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する旨主...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

適格退職年金制度から確定拠出年金制度への移行に際し、請求人に支払われた適格退職年金契約の解約に伴う分配金は、一時所得に該当するとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.72 - 203頁  請求人は、適格退職年金制度から確定拠出年金制度への移行に際し支払われた本件一時金は、所得税基本通達30−2《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

低湿地を盛土して譲渡した場合の所得について、雑所得ではなく譲渡所得に該当するとした事例


... 裁決事例集 No.20 - 58頁  持分共有で取得した低湿地を2〜3メートル盛土して譲渡した場合において、[1]本件土地は取得後放置されていたことからゴミ捨場のようになり、市当局等から所有者の管理...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

区画形質を変更して土地を譲渡したことによる所得について、譲渡所得と事業所得又は雑所得に区分して課税するのが相当であるとした事例


... 裁決事例集 No.18 - 25頁  所得税法上、譲渡所得には、棚卸資産(これに準ずる資産を含む。)の譲渡、その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡によるものは含まれないから、土地に区画形質...

詳細を表示する