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本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例(平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成24年分の所得税の更正処分、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、平成23年1月1日から平成23年12月31日まで及び平成24年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分、平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、平成23年1月から平成25年12月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分等・却下、全部取消し・平成28年8月10日裁決)


▼平成28年8月10日裁決
《ポイント》
 本事例は、事業所得が誰に帰属するかは、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義、事業への出資状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有する者を社会通念に従って判断すべきとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人の父(父)が営むものとして申告された飲食店(本件飲食店)の事業について、平成23年以降の法律行為の名義は全体として請求人であり、同人が収支の管理を行い、同人が従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたと認められることから、平成23年分ないし平成25年分(本件各年分)における本件飲食店の経営主体は父ではなく請求人であり、その事業に係る所得は請求人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、事業所得の帰属者の判断に当たっては、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義に着目するのはもとより、当該事業への出資の状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有するかを社会通念に従って判断すべきである。本件においては、本件各年分における本件飲食店の店舗の賃貸借契約は、父名義で行われているほか、その事業の用に供されている物的設備等のほとんどが父の所有するものであり、請求人は平成23年当時、本件飲食店を経営するだけの資金力を有するに至っておらず、その経営は父の資金力に大きく依存していたところ、平成23年以降のいくつかの法律行為等に請求人の名義が用いられていることや、請求人が収支の管理を行い、従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたとしても、それは、請求人がいずれ本件飲食店の事業を承継することを前提に本件飲食店に勤務し始めたことから、父から店長としてかなりの裁量を持たされていたにすぎないといえ、請求人がその生活費等を本件飲食店の事業に係る収益から享受し、父は本件飲食店の事業から収益を享受していなかったとしても、本件各年分における本件飲食店の経営状況は悪く連年損失が生じていたことからすると、父が経営者であって請求人が従業員であるとの状況を前提とすれば整合的であり、これらを総合して考慮すれば、本件飲食店の経営主体は父であったとみるべきであり、その事業に係る所得は父に帰属する。


《参考判決・裁決》
 最高裁昭和37年3月16日第二小法廷判決(集民59号393頁)
 名古屋地裁平成17年11月24日判決(裁web)





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