▼ 裁決事例集 No.73 - 127頁 所得税基本通達36−17にいう「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」とは、単に債務超過の状態にあるだけでは足りず、債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても、調達ができないと認められる場合をいうものと解される。 これを本件についてみると、請求人は、債務免除の前後において安定的な賃貸収入を稼得し、上記借入金の弁済に充てており、しかも同借入金以外の債務についても、債務免除の前後において弁済をしていた。そして、請求人の収入から借入金の返済額その他の支出額を控除した請求人の生活費として消費可能な所得は、総務省の家計調査における一世帯当たりの年間消費支出を上回っていることなどからすれば、債務免除の時点において、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないとは認められない。 さらに、請求人の資産・負債の状況についてみても、請求人は、主要な資産である自宅及び賃貸用不動産を処分することなく保有しており、また、上記の請求人の支払能力からすれば、債務全額について弁済が不可能となるほどの著しい債務超過があったとはいえないから、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合」に該当するとは認められない。 平成19年6月12日裁決 |
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