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▼ 裁決事例集 No.48 - 246頁

 原処分庁は、請求人の各事業年度の売上金額は、各事業年度の売上原価の額を平成4年3月期の下半期(「本件下半期」)の売上原価率で除して算定し、一般経費の額は、売上金額に類似同業者の平均一般経費率を乗じて認定しているのに対し、請求人は、上記売上原価率には合理性がないとして売上金額を争うとともに、一般経費の額については取引金額により算定すべきであると主張する。
 請求人は、自ら売上金額については主張、立証せず、各事業年度の一般経費の額については取引金額により算定すべきであるとして、当審判所に対し平成4年3月期の売掛帳納品書(控)及び買掛帳の各写し並びに各事業年度の人件費以外の一般管理費に係る領収証写しをそれぞれ提出した。
 しかしながら、請求人の営む婦人ブラウス卸売業にあっては、一般経費の額は売上金額と密接な関係ないし対応関係を有するものと認められるから、請求人が一般経費について取引金額を主張する以上、一般経費の支出の事実及び支出の内容を証拠資料等によって明らかにするだけでなく、売上金額についても同様に明らかにすべきである。
 したがって、請求人の一般経費に係る取引実額の主張は、請求人が提出した証拠資料等の信ぴょう性を検討するまでもなく、これを採用することができないから、当審判所においても各事業年度の一般経費の額を推計の方法により算定せざるを得ない。
 当審判所の調査によれば、請求人の営む事業にあっては、各事業年度相互間においてはその売上原価率に著しい変動があるとは認められないものの、請求人について1年を半期単位でみた場合には、請求人の取り扱う商品の性格からその売上原価率は、上半期と下半期とではこれを異にするがい然性が高いものと認められる。このため、原処分庁が請求人の本件下半期の取引に係る係数を基に算定した売上原価率は、本件にあっては、必ずしも合理的な数値とはいえず、平成4年3月期の1年間の計数に基づいてこれを算定することが合理的であり、相当であると認められる。
 原処分庁が行った類似同業者の選定は、合理的な方法によっているものと認められ、これに基づいて算出された平均一般経費率を適用して請求人の一般経費の額を算定することに合理性があると認められる。

平成6年12月12日裁決




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