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▼ 裁決事例集 No.60 - 546頁

 被相続人らは、あらかじめA社の子会社であるB社の営業譲渡を行わせ、これにより形骸化した同社の株式すべてをを買収した上、C社を吸収合併する方法によってC社が保有する有価証券のうち、A社の株式を時価に比して著しく低い価額で受け入れ、もってA社の株式の帳簿価額をおよそ20分の1に圧縮し、評価通達に定める純資産価額計算上の評価差額を創り出したものである。
 このような特異な取引が行われたのは、被相続人らがD社の指導の下で、同社の企画を実行したもので、被相続人らの行為は、被相続人の保有するA社の株式についての相続対策を行う目的のみで行われたものであることは明らかである。
 評価差額に対する法人税等相当額を控除するのは、個人事業者が個々の事業用資産を直接所有している場合と株式の保有を通じて会社の資産を間接的に保有している場合との均衡を図るものであるが、本件のように租税負担の軽減を図って作為的に評価差額を創り出した場合まで、当該評価差額に対する法人税等相当額を控除することは同通達の趣旨を著しく逸脱するものであって、このような保有形態を利用していない一般の納税者の租税負担を考慮すれば、課税公平の観点からみても、看過し難いものである。
 そうすると、本件株式については、評価通達に定める方法によって評価することが著しく不適当となる特別の事情があると認められることから、評価通達6の定めにより合併によって創り出された評価差額に対する法人税等相当額を控除せずに計算した金額が相続税法22条の「時価」に当たると解するのが相当である。請求人らは、客観的価値としての株式の時価を算定するに当たって、法人税等相当額を控除するのは当然であると主張するが、評価差額に対する法人税等相当額を控除して評価するのは、むしろ特殊な条件下における価額を求めるものであるから、かかる事態を本件株式の評価上考慮すべき理由はない。

平成12年7月12日裁決




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