TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.73 - 326頁
 請求人は、本件Y家屋の敷地は、隣接する本件X家屋の敷地と地続きであり、また、本件Y家屋は、その設備状況からして、独立した1棟の居住用家屋としての機能を有していなかった上、主として居室としての用途で利用していたものであるから、一体として居住の用に供していた本件X家屋及び本件Y家屋(以下、これらを併せて「本件各家屋」という。)は、一構えの一の家屋として、それらの敷地とともに本件特例が適用されるべきである旨主張する。
 ところで、二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。
 したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。
 そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
 これを本件についてみると、本件各家屋の規模、構造、間取り、設備、両家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件各家屋は、それぞれ独立して居住の用に供し得る機能を有する居住用家屋であることは明らかであり、本件各家屋を併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。
 また、請求人が本件Y家屋の台所や風呂を老朽化を理由として使用せず、一方、居室については修繕を行って使用していたのは、そもそも請求人の本件Y家屋の使用目的が、居室としてのみ利用することにあったためであり、請求人の主観的事情にすぎないというべきである。
 そうすると、請求人の主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないから、本件各家屋を機能的に一体として利用していたことをもって、本件各家屋が併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。よって、請求人の主張には理由がない。
 そして、本件特例の適用対象となる家屋は、租税特別措置法施行令第23条第1項の規定により、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限られるところ、主として居住の用に供していた家屋は、本件X家屋と認められることから、本件特例の適用対象となるのは、本件X家屋及びその敷地である本件X土地に限られる。
平成19年2月7日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...60200.html

二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断す...


... ▼ 裁決事例集 No.73 - 326頁  請求人は、本件Y家屋の敷地は、隣接する本件X家屋の敷地と地続きであり、また、本件Y家屋は、その設備状況からして、独立した1棟の居住用家屋としての機能を有し...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...60300.html

二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべ...


... ▼裁決事例集 No.78 - 289頁  租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、個人がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、本件特例の適用対象となる家屋は、主とし...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続により取得した建物の周囲にある緑化設備は、共同住宅の敷地内に設けられた構築物であるから、財産評価基本通達97の定めにより評価すべきであるとした事例


... ▼裁決事例集 No.79  請求人らは、3階建共同住宅の周囲に設けられた花壇、植木及び照明灯などの緑化設備は、公共道路の植込み及び街路灯と同じ役割を担っており、不特定多数の者の通行の用に供されている...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...60400.html

譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部...


... ▼令和2年6月19日裁決 《ポイント》  本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋で...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部分の敷地のみが被相...


... ▼平成28年9月29日裁決 《ポイント》 本事例は、小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

地方公共団体への土地の寄付が、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がそ...


... ▼ 裁決事例集 No.66 - 170頁  特定寄付金とされる所得税法第78条第2項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄付金」のうち、「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

租税特別措置法第41条第1項及び租税特別措置法施行令第26条第2項に規定する建築の意義には増改築も含まれると解すべきであるから住宅借入金等特別控除の適用要件に該...


... ▼ 裁決事例集 No.62 - 173頁  請求人は、建築基準法における建築には増改築が含まれるから、租税特別措置法(以下「措置法」第41条第1項及び租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」第26...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...60200.html

本件建物の2階を居住用とし、1階を店舗工場として同族会社に賃貸していた請求人が、当該同族会社の倒産後において1階部分を居住用に改装した事実はなく、また、居住用と...


... ▼ 裁決事例集 No.57 - 239頁  請求人は、本件建物の1階は賃貸していた同族会社の倒産後は空家同然となったので、同社所有の備品等を整理して、車庫、倉庫及び物干し場等居住用としての利用をして...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

収用等がされる土地の上に存しない建物に係る移転補償金は、収用換地等の場合の所得の特別控除の特例の適用対象となる補償金には該当しないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.77 - 369頁  請求人は、請求人の所有する建物及び固定給油設備等(以下「本件建物等」という。)は請求人が営むガソリンスタンドの敷地と一体として使用していたものであり、租税...

詳細を表示する