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▼ 裁決事例集 No.76 - 450頁
 小規模宅地等の特例の適用対象となる租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等とは、相続開始の直前において、被相続人等が現に居住の用に供していた宅地等をいうものと解され、当該特例対象宅地等を敷地とする建物が現に存在し、これを居住の用に供している場合がこれに当たると解される。
 ただし、被相続人の相続開始直前に当該建物を居住の用に供していない場合であっても、当該建物が一時的に空き家になっていると認められる客観的事情、例えば、相続開始前に病気療養のため入院していたなどの事情があれば、その建物が入院後他の用途に供されているなど、空き家を再び居住の用に供する予定がなかったと認めるに足る特段の事情がない限り、社会通念上、被相続人の生活の拠点がなおその建物に置かれていたと解することができ、当該建物を居住の用に供していると認めるのが相当である。
 本件被相続人の相続開始直前において、被相続人は本件家屋を現に居住の用に供していなかったので、本件老人ホームへの入所が本件家屋を空き家にしていたのが一時的であるとする客観的事情に該当するかを検討すると、まず、本件老人ホームへの入所目的は、被相続人が日常生活動作について介護を必要とし、要介護認定を受けており、同居していない請求人ら親族において介護することが困難であったことから、本件被相続人の介護を目的としたものであったと認められるが、本件老人ホームは、要介護1から5の介護が必要な者でも終身入居可能な介護付終身利用型有料老人ホームであり、入所者は、終身にわたって十分な広さと生活に必要な施設を完備した専用居室を利用でき、食事、家事、健康管理などに関するサービス、生活全般にわたる介護サービスの提供を受けることができたのであるから、本件被相続人は本件老人ホームで終身生活することが可能であったということができ、また、本件被相続人は、入所の対価として、3年間で○○○○円全額が償却される預り金を入所時に支払っており、その他月額利用料は、介護保険等からの給付金及び年金で賄うことができたから、経済的にも終身にわたって本件老人ホームを利用することが可能であり、しかも、実際に、本件被相続人は、相続開始まで本件老人ホームから、入院治療を受けた以外に外出したことはなく、同ホームで生活していた。
 そうすると、本件被相続人は、終身の介護を受けることを前提として、本件老人ホームに入所したものといわざるを得ず、本件老人ホームへの入所は、客観的に見て一時的なものであったとはいえない。したがって、本件相続開始の直前において、本件被相続人が本件家屋を居住の用に供していたとはいえず、本件宅地について小規模宅地等の特例を適用することはできない。
平成20年10月2日裁決




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