▼ 平成27年6月15日裁決 《要旨》 請求人は、平成8年分の所得税の申告において、請求人の借地権(本件借地権)と相手方所有の土地(本件土地)の交換(本件交換)による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について、本件交換時の交換対象資産の各価額の差額を計算すると当該差額が多い方の価額の20%を超えることなどから、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》第1項に規定する特例(本件特例)の適用を受けていたとは認められないので、請求人は同条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当せず、したがって、原処分庁が、平成23年の本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額について、所得税法施行令第168条《交換による取得資産の取得価額等の計算》第3号の規定を適用して計算したことは誤りである旨主張する。 しかしながら、所得税法が採用する申告納税方式の下では、居住者が固定資産を交換した日の属する年分の所得税につき確定申告書に本件特例の適用を受けようとする旨を記載するなどして申告をした場合には、その申告により本件特例の適用を前提として計算された税額は確定し、修正申告又は更正により本件特例の適用が否定されない限り、そのような居住者は所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当すると解される。本件においては、請求人は、本件交換による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について本件土地を交換取得資産として本件特例の適用を受けようとする旨の平成8年分の所得税の申告をしたものと認められ、その後は、請求人が修正申告をした事実、あるいは原処分庁が更正処分をした事実はいずれも認められない。したがって、請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することとなるから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額によるべきである。 《参照条文等》 所得税法第58条第1項、第5項 所得税法施行令第168条第3号 《参考判決・裁決》 東京地裁平成15年9月19日判決(税資253号順号9443) |
類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例
複数の借入金がある場合において、当該各借入金が貸付金の原資となっていると認められるときは、当該各借入金の利率を加重平均した利率をもって当該貸付金に係る通常の利率...
...
▼ 裁決事例集 No.72 - 382頁
原処分庁は、所得税基本通達36−49《利息相当額の評価》について、個人の経済的利益を評価する際の定めであるから、法人の経済的利益を評価する際に直接適用する...
詳細を表示する
居住用と居住用以外の建物の敷地となっている土地の持分である本件受贈財産のそのすべてが居住用家屋の敷地であるとはいえないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.62 - 329頁
請求人は、居住用と居住用以外の建物の敷地となっている不動産につき持分で贈与を受けた場合には、贈与当事者の真意を汲んで配偶者の特別控除の特例の適否を判定すべ...
詳細を表示する
贈与財産は仮住まいの土地家屋と認められ、配偶者控除の適用はできず、また、実際の居住とは異なる住民登録をして、配偶者控除の適用要件を満たしているように仮装した行為...
...
▼ 裁決事例集 No.45 - 267頁
請求人は、居宅新築資金に当てるため売却することとした貸家について、主たる居住用財産に見せかけ、夫より持分の贈与を受けて贈与税の配偶者控除の適用を受けるとと...
詳細を表示する
被合併法人の解散事業年度が、更正処分により欠損事業年度になった場合における法人税の欠損金の繰戻しによる還付請求書についても、合併による解散の事実が生じた日以後1...
...
▼ 裁決事例集 No.56 - 274頁
請求人は、法人税の欠損金の繰戻しによる還付請求書(法人税法第81条)が合併による解散の事実が生じた日以後1年以内に提出できなかったのは、更正処分が当該期限...
詳細を表示する
清算第1期を還付所得事業年度とし、清算第2期を欠損事業年度とする欠損金の繰戻しによる還付請求は不適法であるとした事例
...
裁決事例集 No.14 - 36頁
清算中の法人が継続した場合において、清算第1期を還付所得事業年度とし、清算第2期を欠損事業年度とする欠損金の繰戻しによる還付請求は法人税法第119条“継続等の場...
詳細を表示する
会社更生法第269条第3項の規定に基づき控除する欠損金はまず法人税法第57条第1項による青色欠損金が優先とした事例
...
裁決事例集 No.33 - 116頁
請求人は、会社更生法に基づく更生会社であるが、会社更生法第269条第3項が、更生会社に限り、評価益及び債務免除益を過年度の欠損金との相殺を法人税法の特例として...
詳細を表示する
交換により取得した土地は、交換の相手方が取得してから事業の用に供した事実もなく、交換のために取得したと認められるから、交換の特例は適用されないとした事例
...
裁決事例集 No.32 - 254頁
本件取得資産は、交換取引の相手方が取得してから交換の時まで1年以上経過しており、その間請求人に賃貸していたので、同社が本件取得資産を交換目的で取得したと断定す...
詳細を表示する
子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例
...
▼ 平成25年7月5日裁決
《要旨》
原処分庁は、請求人の中国の子会社への送金(本件送金)は、請求人と当該子会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸付けである旨主張し、請求人は、本件送金に係...
詳細を表示する
請求人が取得した減価償却資産について、租税特別措置法第67条の5の規定は適用できないとしても、償却限度額に達するまでの金額が損金の額に算入されるとした事例
...
▼ 平成24年6月19日裁決
《ポイント》
本事例は、請求人の青色申告の承認が取り消されたことに伴い、青色申告を要件とする租税特別措置法第67条の5《中小企業者等の少額減価償却資産...
詳細を表示する