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▼ 裁決事例集 No.77 - 125頁
 請求人は、所得税法第72条の規定の趣旨からすれば、同条に規定する「災害」とは、納税者の意思に基づかない事象をいうのであり、本件においては、本件建物の建築当時には合法であったアスベスト部材が、その後、科学的に人体に極めて有害であることが判明し、本件建物解体時にはアスベストの含有量調査及びその除去について法令により義務付けられるまでに至ったものであり、この一連の事象が納税者の意思に基づかない事象として同条に規定する「災害」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条に規定する「災害」の語義として、それを「納税者の意思に基づかない事象」とすることは広きに過ぎ、雑損控除の範囲を適切に画することができなくなることからすれば、「納税者の意思に基づかない事象」のみをもって同条に規定する「災害」に該当するとの考えは法解釈としては妥当ではなく、所得税法第2条第27号及び同法施行令第9条の規定からすれば、災害とは、自然界に生じた天災ないしはそれと同視すべき事象を指すものであり、また、人為によるものであっても、鉱害、火薬類の爆発など自然界に生じた天災と同視すべき劇的な過程を経て害を被る事象をいうものと解するのが相当である。
 また、請求人は、上記のとおり一連の事象が所得税法第72条に規定する「災害」に該当する旨主張するが、なおあいまいで特定された主張とはいい難いところ、本件においては、いかなる事象を所得税法第2条第27号を受けた同法施行令第9条に規定する「人為による異常な災害」に該当するものとして検討するかによって判断内容は異なるものとなる。
 すなわち、請求人の主張を「建物の解体の際にアスベストが発見されたことによりアスベストの除去作業等を法令により義務付けられるに至ったこと」が「災害」に該当するとの主張と解し、「人為による異常な災害」とみることができるかを検討すると、法令によりアスベストの除去作業等が義務付けられたのは、作業の過程において飛散するアスベストを作業員等が吸引することによる健康障害の発生を防止するためであり、従来建材等に広く使用されていたアスベストが、人の健康上危険視されてその使用が禁止され、除去作業等の費用負担を余儀なくされたこと自体は、予見及び回避不可能であり、納税者の責めに帰すべきものではなく、納税者の意思に基づかないものとしても、除去作業等の義務が課せられ、これを行ったこと自体は法令に基づく要請であり、かつ、その費用負担も受忍すべきものというべきであるから、かかる法令に基づき費用負担が生じたこと自体を上記「人為による異常な災害」とみることはできない。
平成21年2月16日裁決




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