▼ 平成28年5月30日裁決 《ポイント》 本事例は、不動産の賃料が、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、所得税法第157条の適用の検討に当たり、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と請求人が同族会社に支払った賃料を比較することには合理性があるとしたものである。 《要旨》 請求人は、原処分庁が所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》第1項の規定の適用に当たって算定した診療所(土地を含む。)の適正賃料について、その算定方法に合理性がないことから、請求人が同族会社に支払った賃料(本件賃料)を必要経費に算入したことは請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となるとは認められない旨主張する。 しかしながら、同項に規定する「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められるか否かは、同族会社の具体的行為又は計算が通常の経済人の行為等として経済的合理性を有しているか否かを基準として判断すべきであり、不動産の賃料は、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、請求人が本件賃料を支払ったことについて通常の経済人の行為として経済的合理性を有しているか否かを判断する際に、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と本件賃料を比較することには合理性があると認められる。そして、原処分における診療所の類似物件の抽出基準は地理的条件等の類似性が確保されており、本件賃料は当該基準に従って抽出した不動産の平均賃料(診療所の適正賃料)よりも高額であることから、請求人が本件賃料を支払ったことは通常の経済人の行為として経済的合理性を有していない。したがって、請求人が本件賃料を必要経費に算入したことを容認した場合には請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。 なお、原処分庁による診療所の類似物件の平均賃料の算定に一部誤りがある。 《参照条文等》 所得税法第157条第1項 《参考判決・裁決》 平成23年7月8日裁決(裁決事例集 |
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