▼ 裁決事例集 No.77 - 31頁 所得税法第9条第1項第10号の趣旨が、譲渡所得が発生した際に納税資力がない者に対して租税を免除するものであることからすると、所得税法施行令第26条に規定する債務を弁済することが著しく困難である場合に該当するかどうかは、譲渡所得が発生した際に、債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を返済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができない場合をいうと解される。そして、上記のとおり、同条第1項第10号の趣旨が納付困難な納税者に対して租税を免除するものであることからすれば、資力を喪失して債務の弁済が著しく困難である場合に該当するか否かの判断は厳格に行われるべきであり、弁済可能な金額を客観的、かつ、具体的な金額をもって算定し、その上で、さらにどれだけの返済資金を調達することができるかについて認定していくことが所得税法第9条第1項第10号の趣旨にかなうものである。 これを本件についてみると、被相続人の資産の価額の評価に当たり、譲渡物件については、譲渡時において、譲渡の対価、すなわち譲渡価額として弁済可能な金額が客観的、かつ、具体的な金額として把握できるのであり、譲渡物件は譲渡以前においても譲渡価額と同額の価額を有していたと認めるのが相当であることから、譲渡価額に相当する価額で評価すべきである。そうすると、請求人らの主張する負債の額の合計額は464,853,670円であるところ、本件譲渡物件の譲渡価額は、520,000,000円であるから、負債に係る請求人らの主張を全て認めたとしても、資産の額が、負債の額を上回ることは明らかである。したがって、被相続人は、所得税法施行令第26条に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合には当らない。 平成21年2月17日裁決 |
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