▼ 裁決事例集 No.58 - 47頁 請求人らは、本件不動産の所有権は、被相続人とその妻であるHの離婚前においてその全部若しくは2分の1がHに帰属している旨主張する。 ところで、民法第762条によれば、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中に自己の名で得た財産はその特有財産とし、夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産はその共有に属するものと推定する旨規定されており、夫婦の財産関係について、いわゆる別産制をとっていると解されるから、夫婦が婚姻中に得た所得やそれによって取得した財産の全てが、当然に夫婦の共有となるものではない。 そうすると、夫婦が婚姻中に相互の協力、寄与によって得た資産であっても、いずれか一方の名義となっている場合には、その取得資金の拠出等の事実に基づき、他方の特有財産であることが明らかであるとき若しくは夫婦の共有財産であることが明らかであるときなど、当該名義が単なる名義貸しによるものであることが明らかである場合を除き、その名義人を当該資産の所有者として取り扱うのが相当である。 これを本件についてみると、請求人の提出資料からは、Hが本件不動産の取得資金の全部又は一部を拠出した事実若しくは被相続人からHに事業を引き継いだ時点で本件不動産の所有権がHに移転している事実を認定することはできず、また、原処分関係資料及び当審判所の調査によっても同様である。 したがって、本件不動産は、被相続人が婚姻中に自己の名義で取得しているのであるから、民法第762条の規定により被相続人の特有財産であり、被相続人とHの共有となるものではないところ、その名義が被相続人名義となっていることについて、単なる名義貸しによるものであることが明らかであるとは認定できず、Hに所有権が移転したとする事実も認められないことから、被相続人をその所有者として取り扱うのが相当である。 平成11年7月23日裁決 |
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