▼ 裁決事例集 No.68 - 92頁 代償分割債務を履行するために資産を無償で交付した場合における譲渡所得の収入すべき金額は、その代償分割の目的となる資産を交付した時におけるその資産の価額によると解されるところ、その場合の価額は、その交付の時における客観的な交換価値、すなわち時価をいうものと解することが相当である。 請求人は、地価の下落を理由として修正した路線価を基に、本件土地の管理状況及び他の相続人への金銭債務の支払額を考慮して本件土地の価額を算定しているが、その算定方法は客観的な時価を求めるにおいて合理的な根拠を欠くものである。また、原処分庁が採用した公示地及び基準地は、その用途地域、建ぺい率及び容積率は本件土地と異なっていることが認められるから、本件土地の価額を求めるための基礎としては合理性を欠くものである。 よって、請求人及び原処分庁の主張する価額はいずれも時価であるということはできない。 そこで、当審判所が、取引内容が明確で、かつ、資料の正確性が確保されている3取引事例を選定し、これに相当と認められる不動産鑑定評価基準及び土地価格比準表等を参考として、不動産鑑定評価における取引事例比較法と同様の手法により価格を試算し、これらを平均した金額は本件土地の譲渡時における価額と認められるところ、当該価額を基に本件譲渡所得の金額を計算すると、本件更正処分の額を上回るので、本件更正処分は適法である。 平成16年12月8日裁決 |