▼ 裁決事例集 No.73 - 56頁 国税通則法第66条第1項に規定する無申告加算税は、納税申告制度の秩序を維持するためには、納税者により期限内に適正な申告が自主的になされることが不可欠であることにかんがみて、申告書の提出が期限内になされなかった場合の行政上の措置として課されるものであるから、同項ただし書きの「正当な理由」とは、例えば、災害、交通・通信の途絶など、期限内に申告できなかったことについて納税者に責められる事由がなく、このような行政上の措置を課することが不当又は酷となるような真にやむを得ない事情をいうものと解するのが相当である。 これを本件についてみると、請求人が会計事務所に本件確定申告書の作成を依頼したのは平成18年2月ころであり、そして、入院の翌日である同年3月10日ころには、本件確定申告書ができあがっていたこと、請求人の入院は、突発的な事態によるものでなく、毎年定期的に受けていた術後検査を受けるためのものであり、実際にも入院中は、定期的に血液、肝機能等の身体全般の検査を受けるという状況にあったこと、入院期間は予め一週間ないし10日程度と見込まれていたもので、同月19日に退院していること、請求人は、本件確定申告書の作成を本件会計事務所に依頼していたことから、計算過程などについては確認することなく、納税額を確認したところで本件確定申告書に押印していること、請求人は、請求人が代表取締役を務めるC社の経理課長から、法定申告期限が平成18年3月15日であることを知らされた際、申告期限にはこだわらず、本件確定申告書を退院後に提出する意思を有していたことが認められる。 これらのことからすると、請求人が本件確定申告書の期限内提出の必要性ないし重要性を十分に認識していたとすれば、請求人は、平成18年3月9日から入院することになるという事情を本件会計事務所に説明して本件確定申告書の作成を早め、入院する前に本件確定申告書の内容を確認することに支障はなかったということができ、さらには、入院中において、請求人は「納税額」の確認ができないほどの病状下にはなかったもので、上記経理課長から電話があった際(同月10日ころ)、請求人が確認を要すると考えていた納税額を同人に尋ね、それを確認することは容易なことであったと認めるのが相当である。 したがって、請求人が本件確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書きに規定する正当な理由があったとは認められない。 平成19年2月28日裁決 |
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