▼ 平成29年5月29日裁決 《ポイント》 本事例は、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解するのが相当であるとしたものである。 《要旨》 請求人は、滞納者(本件滞納者)の滞納国税(本件滞納国税)に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法第153条《催告》の解釈は誤っており、本件滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張する。 しかしながら、民法第153条は、債権者の催告について、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解され、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を、債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきであるから、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解すべきである。 これを本件についてみると、本件滞納者の行った承認は、原処分庁が差押予告書(本件差押予告書)の送達によって行った本件滞納国税についての催告後6か月以内にされたものであるから、当該承認によって、本件差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当である。 《参照条文等》 国税通則法第72条第1項、第3項 民法第147条、第153条 《参考判決・裁決》 大阪高裁平成18年5月30日判決(判タ1229号264頁) 大審院昭和4年6月22日判決(民集8巻597頁) 最高裁昭和43年6月27日第一小法廷判決(民集22巻6号1379頁) |
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