▼ 裁決事例集 No.59 - 56頁 国税通則法第37条第1項は、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合には、税務署長は、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない旨規定する。 ところで、本件延滞税の額は、本件相続税の法定納期限の翌日である平成8年2月20日から、本件修正申告に係る相続税の納期限である同年11月6日までの期間の日数261日に応じ、当該修正申告により納付すべき本税の額380,000円(ただし、国税通則法第118条第3項の規定により10,000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に年7.3%の割合を乗じて計算した19,800円(ただし、同法第119条第4項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であること、そして、上記納期限を経過した後の平成11年6月25日現在、この19,800円の全額が未納であったことが認められるから、当該金額について同日付でなされた本件督促処分は適法ということになる。 もっとも、請求人は、国税通則法第57条第1項の規定によれば、原処分庁は本件過誤納金を本件延滞税に充当すべきところ、これに反して当該過誤納金の全額を請求人に還付しながら、それから2年も経過した後に本件督促処分をしたのであって、このことは信義則に反する旨主張する。 確かに、国税通則法第57条第1項は、税務署長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下、「還付金等」という。)がある場合において、その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなっている国税があるときは、還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない旨規定するところ、請求人には、上記のとおり、平成9年9月18日現在、納付すべきこととなっている本件延滞税があったのであるから、原処分庁としては、本件誤納金を本件延滞税に充当すべきであり、にもかかわらず、当該過誤納金を請求人に還付したことは上記規定に反すると言わざるを得ないのであるが、過誤納金の還付と督促処分とは別個のものであるから、当該還付が違法に行われたからといって、本件督促処分が当然に違法、不当となるわけではない。 また、信義則が租税法律関係にも適用される法原則であるとしても、本件過誤納金を本件延滞税に充当することなく、これを請求人に還付したからといって、これをもって、原処分庁が、当該延滞税の納付を督促しない旨を公的に表明し確約したものということはできないし、請求人も、本件督促処分によって、本来納付すべき本件延滞税を納付しなければならないというにすぎず、当該延滞税の納付の督促はないと信頼し、これに基づいて何らかの行為をしたために特段の不利益を受けたわけでもないのであるから、本件においては、租税法律主義の原則や納税者の平等、公平の要請をおいてまで、請求人の利益を保護すべき特段の事情はないというべきである。 したがって、請求人の主張には理由がない。 平成12年5月24日裁決 |
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