▼ 令和2年3月5日裁決 《ポイント》 本事例は、法人税法施行令第5条第2項第2号に規定する「生活の保護に寄与しているもの」とは、事業に係る剰余金等の処分可能な金額の相当部分を特定従事者に給与等として支給していると認められる場合の当該事業をいい、剰余金等の処分可能な金額は、当該事業に係る利益の額に特定従事者への給与等支給額を含む人件費支給総額を加算した金額とすることが相当としたものである。 《要旨》 請求人は、請求人が行う公の施設の管理受託の事業等(本件事業)の一部の業務については、法人税法施行令第5条《収益事業の範囲》第1項に規定する収益事業に該当しない旨主張する。また、本件事業のうち請負業として収益事業に該当するものについては、当該事業に従事する者の総数の半数以上が65歳以上の高齢者(特定従事者)であり、同条第2項第2号に規定する「生活の保護に寄与しているもの」か否かは、税引前当期正味財産増減額に特定従事者への給与等支給額のみを加算した金額に占める特定従事者への給与等支給額の割合により、緩やかに判断するのが相当であるから、当該事業は収益事業から除かれる旨主張する。 しかしながら、請求人が収益事業に該当しないと主張する一部の業務は本件事業の付随行為であり、本件事業はその付随行為も含め全体として一つの請負業と認められる。また、「生活の保護に寄与しているもの」か否かについては、事業に係る剰余金等の処分可能な金額の相当部分を特定従事者に給与等として支給しているかどうかにより判定することになるが、剰余金等の処分可能な金額は、本件事業に係る利益の額(税引前当期正味財産増減額)に特定従事者への給与等支給額を含む人件費支給総額を加算した金額とすることが相当である。そして、これにより剰余金等の処分可能な金額に占める特定従事者への給与等支給額の割合を計算すると過半にも満たないから、本件事業は「生活の保護に寄与しているもの」に該当しない。 《参照条文等》 法人税法第2条第13号、第4条第1、第7条 法人税法施行令第5条第1項、第2項第2号 法人税基本通達15−1−6 特定非営利活動促進法第70条第1項 《参考判決・裁決》 神戸地裁平成17年5月25日判決(税資255号順号10039) 平成元年8月28日裁決(裁決事例集No.38) |
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