▼ 平成30年11月14日裁決 《ポイント》 本事例は、ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものと解されるとしたものである。 《要旨》 請求人は、原処分庁が売上計上漏れがあったとした事件業務に係る請求金額の一部について、請求した金額ではなく調停により減額決定した金額であること、着手金の支払がなく委任契約が途中解約されたことから零円であること及び日当旅費は、委任契約上免除する旨の合意がありその支払もなかったことから零円であることなどから益金の額が過大である旨主張し、原処分庁は、当該事件業務の売上高は、請求人が保管していた顧客との委任契約書及び請求書を基に算出したもので、当該事件業務に係る契約が解除された等の事実は認められない旨主張する。 しかしながら、収益はその収入すべき権利が確定したときの属する事業年度の益金に計上すべきところ、及びについては、請求人は報酬金を依頼人に請求していることから、この時点で当該報酬金の支払請求権が確定したものと認められ、当該請求金額は請求した事業年度の益金の額に算入されることとなり、については、依頼人との委任契約書において、日当を免除する旨定められていることから、請求人は、当該依頼人に対して日当を請求する権利を有していたとは認められず、請求書に記載されている日当の額は益金の額には算入されない。そして、の減額金額については、請求した事業年度の益金の額に算入されるものの、翌事業年度に減額が確定しており、当該減額金額は翌事業年度の損金の額に算入されること及びの金額は益金の額に算入されないことになるから、それらの部分を取り消すべきである。 《参照条文等》 法人税法第22条第2項及び第4項 《参考判決・裁決》 最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決(民集47巻9号5278頁) 東京地裁平成20年1月31日判決(税資258号順号10880) |
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