▼ 裁決事例集 No.75 - 370頁 請求人は、本件事業年度の所得の金額の計算上、繰越欠損金額を損金の額に算入して、法人税の確定申告書を提出し、その後、本件更正処分前に、欠損金額が生じた事業年度後の事業年度で無申告であった事業年度に係る確定申告書を提出しているのであるから、法人税法(平成19年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)第57条第10項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当する旨主張する。 ところで、法人税の確定申告書の提出は、各事業年度の所得の金額等を確定する行為であるところ、法人税法第57条第1項の規定は、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入すべき金額に係る別段の定めとして、一定の条件のもとに繰越欠損金額を損金の額に算入することとした規定である。このことから、各事業年度の所得の金額の計算上繰越欠損金額を損金の額に算入するかどうかは、遅くとも、内国法人が当該各事業年度に係る確定申告書を提出する時までに定まっていなければならない。そうすると、法人税法第57条第1項の適用要件を規定する同条第10項にいう「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当するかどうかも、当該各事業年度に係る確定申告書の提出時までに定まっていなければならないことになる。 したがって、法人税法第57条第10項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」とは、繰越欠損金額を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書の提出時において、欠損金額が生じた事業年度後の各事業年度について確定申告書が提出済みである場合をいうものと解される。 これを本件についてみると、請求人が本件事業年度に係る法人税の確定申告書を提出した時点において、欠損金額が生じた事業年度後に無申告の事業年度があり、請求人が、その後に、無申告であった事業年度に係る確定申告書を提出したとしても、繰越欠損金額が生じた事業年度から連続して確定申告書を提出していることにはならない。 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。 平成20年3月14日裁決 |
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