▼ 平成24年9月7日裁決 《要旨》 請求人は、請求人以外の相続人が相続財産を隠蔽したことにより、相続財産はほとんどないものという誤った認識に陥った上、当該認識に基づき、遺産分割協議に合意(本件遺産分割協議)したものであるから、本件遺産分割協議は無効である旨主張する。 しかしながら、請求人の主張は、本件遺産分割協議において表示された法的効果を発生させようとする意思(効果意思)を形成する前段階の理由(動機)の錯誤をいうものと解されるところ、請求人が、遺産分割協議書の原案を作成し、遺産分割協議の成立後に判明した相続財産については一定の分割割合で各相続人が取得する旨の条項を加えるよう申し出たことから、本件遺産分割協議に係る遺産分割協議書にその旨の記載がなされたのであり、後に判明した相続財産の価額によっては、当該分割割合や本件遺産分割協議そのものを見直すなどの本件遺産分割協議に係る合意を留保する旨の特段の定めも設けられていないことからすると、請求人は、本件遺産分割協議の成立後に相続財産が判明する事態があり得ることを想定していたと認められ、相続財産はほとんどないものという認識に陥っていたとはいえない。したがって、本件遺産分割協議の成立後に、相続財産が判明したとしても、本件遺産分割協議への合意に至る動機に錯誤はないので、本件遺産分割協議が無効とは認められない。 《参考条文》 民法第95条 |
類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例
相続税の連帯納付義務を免れるためになされた遺産分割協議の合意解除は、後発的な更正の請求事由の一つである「やむを得ない事情によって解除」された場合には当たらないと...
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▼平成24年3月8日裁決
《ポイント》
この事例は、私法上、遺産分割協議の合意解除は認められているが、その目的が相続税の連帯納付義務を免れるためのものである場合には、後発的な更正の請求を認めた趣旨...
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相続税法第35条第3項の規定に基づいて行われた増額更正処分は、その処分の前提となる更正の請求が同法第32条第1号の要件を満たしていないから違法であるとした事例
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▼平成24年3月13日裁決
《ポイント》
この事例は、共同相続人の総意により特定非営利活動法人に寄附された遺産中の財産は、共同相続人間で法定相続分の割合で分割されたとみるのが相当であり、その分割の...
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相続の開始後に認知によって相続人となった者が価額弁償により取得した本件価額弁償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、価額弁償の対象になった財産の価額弁償...
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裁決事例集 No.43 - 336頁
民法第910条“分割後の被認知者の請求”に基づく価額弁償の請求の調停により価額弁償金が交付された場合、当該弁償金の交付を受けた者及び交付をした者の相続税の課税...
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死後認知裁判により相続人となった者であっても相続により財産を取得した時及びその財産の評価の時点は相続の開始の時であるとした事例
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▼ 裁決事例集 No.65 - 601頁
請求人は、認知裁判の確定により初めて相続人の地位を取得したものであるから、本件株式の取得の時期は認知裁判の確定した日と解すべきであり、また、遺産分割請求権...
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遺産分割調停中である場合には、相続税の更正等を行えないとする税法上の規定はなく、原処分は適法であるとした事例
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請求人は、遺産分割の基礎である贈与税及び遺産総額は調停内事実検証を踏まえて必然的に確定されるものであるから、更正処分は遺産分割調停の結果に従って行なわれる...
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遺産分割協議において寄与分に応ずる財産が具体的に定められるとともに、一部の財産が協議の対象から漏れていた場合において、相続税法第55条の規定により相続税の課税価...
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▼ 裁決事例集 No.75 - 546頁
相続税法第55条においては、民法の規定による相続分の割合について、同法第904条の2を除く旨規定しているが、その趣旨は、寄与分は、具体的には共同相続人間の...
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遺産分割協議は有効に成立しており、当該遺産分割協議に基づく決定処分は違法とは認められないとした事例
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▼ 平成24年9月7日裁決
《要旨》
請求人は、請求人以外の相続人が相続財産を隠蔽したことにより、相続財産はほとんどないものという誤った認識に陥った上、当該認識に基づき、遺産分割協議に合意(本件遺...
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請求人に相続による納付義務の承継があったことを前提として行われた本件差押処分について、請求人が相続放棄をしているから違法である旨の主張が認められなかった事例
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▼ 裁決事例集 No.55 - 1頁
請求人は、被相続人の死亡当時被相続人と住所を同じくしており、また、請求人が被相続人の死亡当日に死亡届出を行っているのであるから、被相続人の死亡の日にその事実を...
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「相続させる」旨の遺言の法的効果を前提として、未分割財産が分割されたことを事由とする相続税法第32条第1号の規定に基づく更正の請求は、その前提要件を欠くとした事...
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▼ 平成23年12月6日裁決
《ポイント》
この事例は、遺産の全部を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言があった場合には、被相続人の死亡の時に直ちに遺産全部について分割の効果が発生し、当該...
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