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▼ 裁決事例集 No.76 - 440頁
 相続税法第32条第1号は、同法第55条の規定により分割されていない財産について、民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算されていたこと、及びその後当該財産の分割が行われたことをその要件としていることから、同号の規定に基づく更正の請求は、単に相続財産の分割が行われ、相続財産の分属が決まり、その結果に従って相続税の課税価格を計算すると申告又は更正若しくは決定に係る課税価格と異なることとなるというだけでは足りず、当該分割が行われる前には遺産共有の状態にあった分割の対象とされた財産について、民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算された申告又は更正若しくは決定が行われていること、及び当該申告又は更正若しくは決定において未分割財産とされていた財産が分割されたことが必要であり、の申告又は更正若しくは決定がなされていない場合には、同条第1号の更正の請求の要件を満たさないこととなる。
 本件においては、本件遺言が無効である旨の判決が確定した最高裁判決により、すべての相続財産は遺産共有の状態、すなわち未分割の状態にあることが明らかにされたものと認められ、その後、審判によりその未分割の状態にあった財産の分割が行われたのであるから、最高裁判決により未分割の状態にあることが明らかになった相続財産について、相続税法第55条の規定に基づく申告又は更正若しくは決定がなされていたかどうかで、本件更正の請求が同法第32条第1号の更正の請求の要件である「相続税法第55条の規定により分割されていない財産について民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算されていたこと」を満たすか否かを判断すべきこととなる。この点、本件申告は、最高裁判決の前になされているものであって、本件更正の請求の直前における請求人の相続税の課税価格は、最高裁判決により未分割の状態にあった相続財産について相続税法第55条の規定に基づき民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って計算されていたものでないことは明らかである。したがって、本件更正の請求は、相続税法第32条第1号に規定する要件を欠くものである。
平成20年10月29日裁決




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