▼ 平成30年2月23日裁決 《ポイント》 本事例は、消費税法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」には、「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれるとしたものである。 《要旨》 請求人は、消費税法第9条の2《前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例》第1項の規定は「法人のその事業年度の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である場合において」と限定されており、同項の規定を条文に沿って解釈すれば、その事業年度の基準期間がない場合には同項の適用はないところ、請求人の場合、同項の規定の適用はなく、また、同法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項の規定の適用もないから、同法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第1項本文の規定により、消費税の納税義務はない旨主張する。 しかしながら、消費税法第9条第1項本文に規定する「事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者」には、当然に「その事業年度の基準期間がない法人」も含まれ、同法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」についても、同様に「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれる。また、同法第12条の2第1項の括弧書において、同条の適用がある法人の課税期間から同法第9条の2第1項の規定により納税義務が免除されないこととなる課税期間が除かれていることからすると、同法第12条の2第1項は、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれていることを前提に規定されており、このことをみても、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれることは明らかである。以上のことから、消費税法第9条の2第1項の規定は、その事業年度の基準期間がない場合についても適用があり、同項の規定の適用がある場合、同法第12条の2第1項の規定の適用はないことから、同法第9条の2第1項及び第3項の規定により、請求人の消費税の納税義務は免除されない。 《参照条文等》 消費税法第9条第1項、第9条の2第1項及び第3項、第12条の2第1項 |
類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例
本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益...
...
▼ 裁決事例集 No.49 - 443頁
請求人は、平成元年3月29日に、収益事業である旅館業の用に供していた本件不動産の売買契約を締結し、消費税法取扱通達9−1−13(固定資産の譲渡の時期)のた...
詳細を表示する
元従業員が請求人の仕入れた商品を窃取したことによる当該元従業員に対する損害賠償請求権を益金の額に算入すべきとした事例
...
▼ 令和元年5月16日裁決
《ポイント》
本件は、従業員等による横領があった場合の損害賠償請求権について先例が示した判断と基本的に同様の判断をしたものであるが、請求人の隠蔽行為があったと認め...
詳細を表示する
従業員及び常務取締役が行った売上除外に係る法人税の更正処分等について、横領損失と損害賠償請求権に係る収益は同一事業年度に計上すべきであるとした事例
...
▼ 平成23年2月8日裁決
《ポイント》
この事例は、いわゆる横領損失に係る損害賠償請求権に係る収益計上時期、重加算税の適用に係る「隠ぺい・仮装」の行為者及び更正の期間制限における「偽りその他不正...
詳細を表示する
委託した工事が課税期間中に完了していないことを認識していたにもかかわらず、工事業者に対して課税期間中の請求書の発行を依頼した上、工事が課税期間中にあったものとし...
...
▼ 裁決事例集 No.75 - 93頁
請求人が工事業者に依頼した請求書は納品書を兼ねていること、請求人において契約した工事は、通常、完了する前に当該工事に係る請求書を受け取ることはないことなどを...
詳細を表示する
事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人は、消費税の納税義務が免除されないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.59 - 351頁
請求人は、免税事業者と課税事業者の区分は、基準を課税売上高によるものとしたため、原則として、その課税期間から2年間さかのぼって基準期間を設定したものであり...
詳細を表示する
信用を出資の目的とした出資の額は消費税法上の出資の金額に含まれ、請求人は消費税法上の新設法人に該当するため消費税等を納める義務が免除されないとした事例(消費税及...
...
▼ 平成29年6月15日裁決
《ポイント》
本事例は、信用を出資の目的とした出資の額は消費税法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項に規定する「出資の金額」に該当するとしたもの...
詳細を表示する
消費税法第9条の2第1項及び第3項の規定により、基準期間がない場合でも請求人の消費税の納税義務は免除されないとした事例(平成26年4月1日から平成27年3月31...
...
▼ 平成30年2月23日裁決
《ポイント》
本事例は、消費税法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」には、「その事業年度の基準...
詳細を表示する
輸出予定先の事情により売買契約書どおりの船積みができなかった本件取引は、国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.75 - 693頁
請求人は、本件機械はいまだ国内に存しているものの輸出される予定であり、契約にある本件機械の指定港までの輸送、その輸出手続及び船積みが履行されていないことか...
詳細を表示する
納付すべき消費税が決算期末において課税売上高及び課税仕入高を集計し算出されることをもって、直ちに消費税に係る経理処理が期末一括税抜経理方式を採用したことにはなら...
...
裁決事例集 No.43 - 232頁
請求人は、納付すべき消費税は決算期末において課税期間分の課税売上高及び課税仕入高を集計し算出するのであるから、消費税の経理処理は自動的に期末一括税抜経理方式を...
詳細を表示する