▼平成30年8月6日裁決 《ポイント》 本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について、類似する不動産が存在しない場合又は類似する不動産が把握できない場合における登録免許税の課税標準たる不動産の価額(時価)は、登録免許税における不動産の課税標準の額が、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎としていることから、固定資産評価基準に従い計算したその登記の時における基準日の台帳価格相当額を算定し、その算定した価額が不動産の時価を表さないなどの特段の事情がない限り、その価額とするのが相当であると判断したものである。 なお、台帳価格相当額については、個別的要因である埋蔵文化財包蔵地を考慮した上で算定している。 《要旨》 請求人は、平成28年5月にした固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地)の所有権移転登記(本件登記)に当たり、原処分庁が、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき、本件各土地に係る固定資産評価通知書に記載された近傍宅地の1の価額(本件近傍地価額)に、本件各土地の地積をそれぞれ乗じて認定した価額により算出した登録免許税額は過大であり、平成29年度台帳登録価格を本件登記に係る登録免許税の課税標準の額を算出するための基礎とすべきである旨主張する。しかしながら、本件各土地に係る登記申請は、平成28年5月になされているため、用いるべき台帳登録価格は平成28年1月1日現在のものであって、これと異なる平成29年1月1日を基準日とする平成29年度台帳登録価格を用いる請求人の主張額は、同項第2号の規定に反している。また、登記官認定額についても、画地計算法に基づく補正等の所要の修正を行うことなく、本件近傍地価格に本件各土地の地積を乗じただけであることがうかがえるため、登記機関認定額として適正なものとはいえない。当審判所の認定では、登記嘱託の日において、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等が類似すると認められる土地等は存在しなかったため、固定資産評価基準によって本件各土地の価額を算定するのが相当である。すなわち、本件各土地を一団の土地とみた上で、本件各土地の接する路線の平成28年度の固定資産税の路線価を基礎として、固定資産評価基準及び本件各土地の所在する市区町村の土地評価事務取扱要領に定める各種補正率等を適用し、さらに本件各土地の適正な時価に影響を与える個別的要因である埋蔵文化財包蔵地を考慮した上で算出した本件各土地の価額を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当である。 《参照条文等》 登録免許税法第10条、附則7条 登録免許税法施行令附則第3項 《参考判決・裁決》 平28年4月7日裁決(裁決事例集No.103) |
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