▼ 裁決事例集 No.69 - 437頁 請求人は、告知処分について、[1]徴収不足であることを請求人に明らかにしないでなされたものであり違法であること、[2]延納の担保権設定順位に瑕疵があること、[3]徴収不足となったのは、延納の担保権設定後の経済情勢の変動により担保不足となったことによるものであるから、このような徴収不足は原処分庁の責任で処理すべきこと、[4]請求人が譲渡担保権の実行を猶予していたのは、譲渡担保財産が滞納者の生活維持に不可欠であるという事情からであり、したがって、告知処分は不適切であること、また、差押処分について、[5]滞納者について滞納処分の停止に該当する事由があるから、差押処分は違法であることなどを主張する。 しかしながら、[1]国税徴収法施行令第8条には、徴収すべき国税に不足すると判断した根拠は記載事項とされていないことから、当該根拠の記載の有無が本件告知処分の適法性に影響を及ぼすものではないこと、[2]そもそも、延納許可は滞納者に対してなされたものであり、請求人に対してなされたものではないことから、延納許可に伴う担保権設定順位に係る瑕疵を請求人は主張できる立場にはないこと、[3]原処分庁が、延納担保物件を換価しても経済情勢により滞納国税の額に対してなお徴収不足となることに責任をとらなければならないとする法令等による規定はないこと、[4]譲渡担保権者に対する物的納税責任は、国税徴収法第24条第1項及び第6項に規定する要件を満たすことで必然的に負うことになるものであり、仮に、請求人が人道的見地から担保権の実行を猶予していたと主張するような事情があったとしても、それが告知処分の違法性に影響を及ぼすものではないこと、[5]国税徴収法第153条第1項の規定は、差押えの制限についての規定ではないことから、告知処分及び差押処分の適法性及び妥当性に影響を及ぼすものではないこと、また、国税徴収法第153条の規定に基づく滞納処分の停止は、税務署長等の職権により行われ、たとえ同条第1項各号所定の要件に該当する場合であっても、その停止をするかどうかは税務署長等の裁量に委ねられていると解され、当審判所が滞納者の生活状況及び所有財産等を調査した限りにおいて、原処分庁が滞納処分の停止をしていないことについて、裁量権の逸脱は認められないこと、等から請求人の主張は採用することはできない。 平成17年4月1日裁決 |
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