▼ 平成23年10月17日裁決 《ポイント》 租税特別措置法第41条に規定する「新築」に該当するか否かについて、登記簿その他の関係書類に記載された内容が実情にそぐわない場合には、建築家屋の現況及び建築経過等を総合し、判断するべきである。 この事例は、新たに建築した家屋は、増築が登記原因となっているものの、既存家屋の残存部分と一体となったものではなく、新たに建築した家屋と既存家屋の残存部分とを事後的に廊下により接合したものであることから、新築住宅と認めるのが相当としたものである。 《要旨》 原処分庁は、新たに建築された家屋(本件建築家屋)は、既存家屋の一部に増築したものであるとして建築確認申請及び登記がされているだけではなく、本件建築家屋と既存家屋の残存部分は、木製廊下を介して建物内部の移動ができる一体的な構造であり、また、請求人が本件建築家屋に居住を開始した時点においては、木製廊下が建築されていなかったとする事実は確認できないことから、本件建築家屋は新築でなく増築に当たる旨主張する。 しかしながら、新たに建築された家屋は、家屋として、請求人夫妻とその子、両親及び祖母の全員が十分生活できる設備が整っている一方、既存家屋の残存部分は、居住に必要な設備として電灯設備及びトイレがあるだけで、既存家屋の残存部分のみで生活ができる設備が整っているとはいえない。また、本件建築家屋と既存家屋の残存部分の梁は一体となっていないこと、木製廊下と本件建築家屋の床の高さは約18センチメートルの段差が生じていることからみても、本件建築家屋は木製廊下によって既存家屋の残存部分とつながっているものの、本件建築家屋と既存家屋の残存部分とは、構造的に一体となっているとは認めらない。すなわち、本件建築家屋は、既存家屋の残存部分とは別棟であり、これは正に新築住宅にほかならない。 《参照条文等》 租税特別措置法第41条 《参考判決・裁決》 東京高裁平成14年2月28日判決(訟月48巻12号3016頁) 昭和57年8月10日裁決(裁決事例集No.24・173頁) |