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▼ 裁決事例集 No.77 - 369頁
 請求人は、請求人の所有する建物及び固定給油設備等(以下「本件建物等」という。)は請求人が営むガソリンスタンドの敷地と一体として使用していたものであり、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」として取り扱われるべきであるから、土地収用法に定める事業である道路拡幅工事(以下「本件事業」という。)に基因して取得した本件建物等の移転等補償金(以下「本件物件移転等補償金」という。)は、本件特例の対象となる旨主張する。
 しかしながら、土地収用法等の規定によって強制的に収用等をされる資産は、原則としてその資産を収用することができる公共事業の用に直接供されるものに限られるところ、本件特例が、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしていることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは正に収用されることとなる土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。また、租税特別措置法関係通達64(2)−8及び64(2)−9は、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう措置法第64条第2項第2号の規定との課税の公平を図る趣旨から定められたものであることからすると、同通達64(2)−8に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、同通達64(2)−9の対象となる「機械又は装置」も、ともに措置法第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある物件をいうものと解するのが相当である。そうすると、本件物件移転等補償金は、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用等を補償したものであり、収用されることとなる土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人の主張には理由がない。
平成21年5月25日裁決