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▼ 平成31年3月25日裁決
《ポイント》
 本事例は、審査請求人の店頭外国為替証拠金取引における未決済取引に係る契約上の地位は、所得税法第161条第1号に規定する資産に該当し、当該取引により請求人に生じた所得は、同号にいう資産の運用、保有により生じた所得として、国内源泉所得に該当するとしたものである。
《要旨》
 所得税法第161条《国内源泉所得》第1号(本件規定)にいう「資産」とは、「運用、保有若しくは譲渡」による所得を生じさせ得る財産権をいうものと解され、経済的価値を有する契約上の権利や地位などを広く含む概念と解するのが相当であるところ、非居住者期間中に請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(本件FX取引)における未決済取引に係る契約上の地位は、差金決済を行うことにより利益又は損失を生じさせ得る財産権として本件規定にいう資産に該当する。そして、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得とは、資産の譲渡による所得以外の所得で、資産の運用又は保有に該当する行為によって生じた所得を広く含むと解するのが相当であるところ、本件FX取引に係る差金決済等に係る所得は、請求人が上記の契約上の地位に係る権利を行使又は保有することにより生じたものであって、これを他に移転したことにより生じたものではないから、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得に該当する。なお、請求人は、本件FX取引のうち、請求人が居住者であった期間に決済された取引については、租税特別措置法第41条の14《先物取引に係る雑所得等の課税の特例》第1項の規定が適用されるべきである旨主張するが、同項にいう金融商品先物取引等の決済とは、差金の授受によってされる行為をいうところ、上記の取引についての決済が行われたのは請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者となった後であるから、当該取引は同項が規定する要件を満たさない。
 また、請求人は、「資産の運用、又は保有」に該当する事実についての原処分庁の理由の差替えは請求人に格別の不利益を与えるものとして許されない旨主張するが、本件各更正処分に係る各通知書に記載された理由と本審査請求における原処分庁の主張は、前提となる事実関係を異にするものではなく、その結論に至るまでの考え方を異にするものにすぎず、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》に規定する制度を全く無意義ならしめ、又はこれを認めることが納税者の正当な利益を害するような特段の事情があるとはいえないから、原処分庁の主張が理由の差替えに当たるとしてもそれが許されないものとはいえない。

《参照条文等》
 所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第161条第1号
 租税特別措置法(同前)第41条の14第1項
 行政手続法第14条
《参考判決・裁決》
 最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)




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