▼ 平成28年12月20日裁決 《ポイント》 本事例は、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定(平成26年法律第10号による改正前の所得税法第214条第1項第3号)における「事業」の意義は、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当としたものである。 《要旨》 請求人は、所得税法に「事業」についての一般的な定義規定が置かれていないことからすれば、所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第214条《源泉徴収を要しない非居住者の国内源泉所得》第1項第3号にいう「事業」とは、家事活動に対する経済活動を意味するものにすぎず、請求人が国内で不動産を貸し付けている以上、当該貸付けにより支払を受ける不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当する旨主張する。 しかしながら、所得税法は、居住者の所得金額を計算するに当たって、事業から生ずる所得と、事業に至らない所得とを明確に区分して規定しており、これらの規定は非居住者にも準用されているところ、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定における「事業」の意義についても、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当であって、これと異なる解釈をすべき理由は見当たらないから、所得税法第214条第1項第3号に規定する「事業」の意義については、所得税法における事業の概念をそのまま当てはめることが妥当である。そして、所得税法における事業の意義については、営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴、社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断されるべきものと解するのが相当であるところ、請求人による不動産の貸付けの規模や態様からすれば、社会通念上事業といい得る経済活動とみることは困難である。したがって、請求人による不動産の貸付けは、所得税法上、事業とはいえないことから、請求人が当該貸付けにより支払を受ける賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当しない。 《参照条文等》 所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第161条第3号、第164条第1項第3号、第212条第1項、第214条第1項第3号 |
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