▼裁決事例集 No.78 - 131頁 請求人は、債務者をT、連帯保証人を請求人及びSとした本件債務承認弁済契約が約定どおりに履行されなかった平成7年12月末日において、約定利率の年14%について契約変更があったと解すべきであり、このことは、その後の交渉において、R社から年5.7%、年1%の遅延損害金の利率が提示されていることからも明らかであること、そして、請求人とR社との交渉の結果、遅延損害金の額は最終的に1,000,000円で確定し、請求人はこれを支払っているから、債務免除による経済的利益は生じていない旨主張する。 しかしながら、本件債務承認弁済契約に係る遅延損害金の約定利率は、求償債務残元金が完済されるまで一貫して年14%であったことは明らかである。また、請求人がR社に1,000,000円を支払い、R社がTに対して有する遅延損害金の残額を免除したことにより、本件債務承認弁済契約上の債務者であるTの債務が消滅したものと認められる。そして、当該遅延損害金の債務免除によりTの債務が消滅すると、請求人が本件引受債務の履行を引き受けたことにより、Tに対して負っていた債務者の債務を履行するという債務も消滅することになり、債務者Tの債務を履行するという請求人の債務は、請求人の金銭的負担を必要とする債務であるから、この債務の消滅は請求人において経済的利益を受けたものと認められ、請求人が受けた経済的利益の額は、Tが免除された遅延損害金の額と同額である。 したがって、請求人がR社に1,000,000円を支払ったことにより、R社がTに対して有する遅延損害金の残額を免除し、これにより請求人にこれと同額の経済的利益が生じたことは明らかである。 そして、請求人が本件土地建物の売買代金の一部に代えて本件引受債務の履行を引き受け、その結果、経済的利益を受けたこと、請求人が本件建物を継続して賃貸の用に供していたことからすれば、請求人は不動産の貸付けに関連して当該経済的利益を享受していたと認められるから、当該経済的利益は不動産所得の付随収入として不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入されることになる。 平成21年12月16日裁決 |
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原処分庁は、所得税基本通達36−49《利息相当額の評価》について、個人の経済的利益を評価する際の定めであるから、法人の経済的利益を評価する際に直接適用する...
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