TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.53 - 129頁

 本件は、借地権利金が譲渡所得の収入金額にみなされる場合に該当するものであるところ、請求人は、A土地については、平成2年7月31日に賃貸借契約が成立しているが、B土地については、他社が使用収益中のため賃貸借契約が成立していないのであるから、同土地に係る借地権利金の収入すべき時期は、平成3年であると主張する。
 しかしながら、[1]請求人は、平成2年7月31日までに両土地の借地権利金の97.5パーセントに相当する金員を受領し、同年8月10日までにはその全額を受領していること、[2]請求人及び賃借人の双方において両土地を一体のものとして取り扱っていること、[3]B土地に係る賃貸借契約が別途取り交わされていないこと、[4]B土地を使用している他社も平成2年7月31日の時点において平成3年3月31日に立ち退くことが確定していたことなどから、B土地についても平成2年7月31日の時点で賃貸借契約が成立しており、資産の増加益の利得が確定的に発生しているものと認められるから、同土地に係る借地権利金の収入すべき時期は、平成2年であると認めるのが相当である。
 請求人は、同族会社との土地の賃貸借契約の解除に際して支払った6億円の立退料は当該土地の譲渡費用に該当すると主張するが、[1]当該土地は、当該同族会社の転貸先が建物、構築物のない状態で駐車場として使用していたこと、[2]当該同族会社から当該転貸先への立退料の支払がないこと、[3]当該同族会社に対する賃貸料の額が固定資産税相当額に近い額であり、実質的には使用貸借に近いものと認められることから、請求人が当該同族会社に対して立退料を支払う必要性は認められず、当該6億円全額を譲渡費用として控除することはできない。
 租税特別措置法第37条の2(特定の事業用資産の買換えの場合の更正の請求、修正申告等)に規定するいわゆる義務的修正申告書を提出する場合に該当する本件の場合、当該修正申告書を提出すれば、納付すべき税額は増額された部分を含む全額が即時確定し、その限りで先になされた更正処分(原処分)は、当該修正申告に吸収されて消滅し、その存在意義を失うと解されていることから、更正処分について審査請求等の不服申立てをしている場合において、当該義務的修正申告書の提出を予定することは、法が不服申立てを認めた趣旨を結果的に没却することとなる。
 したがって、このような場合において、当該義務的修正申告書を提出しなかったことについては、やむを得ない事由があったものと認められ、かかる理由は、国税通則法第65条(過少申告加算税)第4項に規定する正当な理由に該当するから、過少申告加算税の賦課決定処分はその一部を取り消すべきである。

平成9年6月30日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

1. 借地権利金の全額を年内に受領している場合のその借地権利金を譲渡所得の収入金額にみなされるときにおける譲渡所得の収入すべき時期は、借地権利金の全額を受領した...


... ▼ 裁決事例集 No.53 - 129頁  本件は、借地権利金が譲渡所得の収入金額にみなされる場合に該当するものであるところ、請求人は、A土地については、平成2年7月31日に賃貸借契約が成立してい...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人が同族会社から受領した土地の賃料が著しく低額であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.73 - 278頁  同族会社であるG社は、請求人から賃借している本件各土地をH社に転貸するなどし、それに伴う業務及び経済的負担を負うとともに、本件各土地転貸料を得ているのであ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30200.html

原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産から...


... ▼ 平成27年10月1日裁決 《要旨》  原処分庁は、請求人は各同族会社(本件各会社)の経理処理を自由にできる自身の立場を利用して、被相続人からの債務免除等の事実がないにもかかわらず、本件各会社の帳...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

出資口の譲渡について、売買契約の要素に錯誤があるとして契約解除したことが、国税通則法第23条第2項に規定する「やむを得ない理由」に該当しないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.65 - 9頁  請求人は、保有していた同族会社の出資口の譲渡について、本件売買契約に当たっては、譲受人に新たな課税関係が生じないことが重要な要素となっていたのであるから、重要...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

請求人が代表取締役を務める同族会社に対し不動産の管理費として支払った金員は、証拠によれば、当該同族会社が行った管理業務の対価であると認められるとした事例


... ▼ 平成25年3月4日裁決 《要旨》  原処分庁は、請求人の賃貸している建物等(本件各物件)の管理業務を、請求人が代表取締役を務める法人(本件同族会社)に委任する旨の契約(本件契約)を締結してい...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

請求人が管理業務を委託した同族会社は、請求人が必要経費に算入すべきと主張する管理費の額に見合う管理業務を行っていたと認められることから、その全額を必要経費に算入...


... ▼ 平成23年9月2日裁決 《ポイント》  この事例は、請求人が同族会社に委託した管理業務のうち、当該同族会社が他社に再委託した業務以外の部分について、当該同族会社が行っていたことを認定し、必要経費...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

同族会社に支払った不動産の管理料について、所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37...


... ▼ 裁決事例集 No.71 - 205頁  請求人は、所得税法第157条第1項の適用に当たっては、経済的合理性を欠く行為や異常な取引形式に基づき、所得税の負担を不当に減少させる結果となることが要件と...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

同族会社に対する本件委託業務は、不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、同族会社が当該業務を履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人...


... ▼ 裁決事例集 No.55 - 43頁  本件契約業務の具体的内容を検討すると、[1]当初から不動産管理業務を委託している不動産管理会社との交渉業務等を含む経営全般に関する知的判断業務は、請求人個人...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20100.html

請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料は請求人に帰属するとした事例


... ▼ 平成24年12月4日裁決 《ポイント》  本事例は、請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料について、当該不動産の真実の所有者及び賃貸借契約における真実の賃貸...

詳細を表示する