▼ 裁決事例集 No.59 - 1頁 国税通則法第23条第1項に規定する期限徒過後に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えに対する判決により当該事実が申告と異なることとなった場合、納税者において、申告当時に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予測し得た場合においては、同条第2項第1号に規定する判決には当たらないと解すべきである。 これを本件についてみると、請求人は、相続財産である宅地及び建物を単独相続するに当たり、未分割の相続財産である本件小作権を将来解約する場合には、これに係る本件補償金を相続人全員に分配することを他の相続人らに約束し、さらに本件補償金を受領した当時においては、これを他の相続人らに分配する意思があったにもかかわらず、それを誠実に履行しなかったために、他の相続人らから本件小作権に係る遺産分割の調停の申立て及び不当利得返還請求等各訴訟が順次提起され、本件判決が確定して、本件補償金のうちの他の相続人らの相続持分に相当する金員を支払ったものであると認められる。 そうすると、本件補償金に係る譲渡所得の確定申告時である平成3年3月の時点において、請求人は、本件補償金は他の相続人らにも分配しなければならないことをすでに認識していたこと及び本件小作権に係る訴訟が係争中であったことなどからみると、請求人は、本件補償金のうち、自己の相続持分に相当する金額のみが自己に帰属するものであることを十分に認識していた上、仮に、本件補償金の全額が自己に帰属するものとしてこれに係る譲渡所得の確定申告をすれば、後日、当該申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを確定申告時には十分に予測し得たものと認められるから、本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には当たらないといわざるを得ない。 したがって、本件判決を理由として本件更正の請求はできないから、本件通知処分は適法である。 平成12年4月26日裁決 |
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