▼ 平成23年3月7日裁決 《ポイント》 この事例は、被相続人の遺言書に「不動産以外の財産は請求人及び二男に相続させる。ただし、預貯金等で私の名義になっていないものはそれぞれその名義人の所有である」旨記載されていたことから、このただし書の解釈が問題となったものである。 《要旨》 原処分庁は、本件遺言書記載の各相続人名義の預貯金等(本件預貯金等)が、本件相続開始日現在では請求人によって換金されて現金として保管されていたという事実の下、本件遺言書は、不動産以外の財産については、請求人及び二男に相続させることを原則とする趣旨であると解される旨主張する。 しかしながら、本件遺言書第4項ただし書には、預貯金等で本件被相続人名義になっていないものは、各名義人の所有である旨記載されているところ、当該記載及び追加遺言書に「三女がこのお金をおろす時は」と記載されていることからすると、本件被相続人は、本件預貯金等については、各名義人以外の者がこれを換金することは予定しておらず、本件相続開始日まで本件預貯金等がそのまま維持されていることを想定していたものと認められること、本件預貯金等は、本件被相続人が亡夫から相続したものであり、本件被相続人の意思で各人名義の預貯金等としたものであること、本件預貯金等の換金は請求人が行ったことであり、本件被相続人は当該換金の事実を知らなかったことを併せかんがみれば、本件遺言書第4項ただし書は、同書作成時に本件被相続人が各人名義で預貯金等としていたものは、換金のいかんにかかわらず、これを各名義人に遺贈する趣旨であると認めるのが相当である。 《参照条文等》 相続税法第1条の3、第2条 《参考判決・裁決》 最高裁昭和58年3月18日第二小法廷判決(判時1075号115頁) |
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