▼ 裁決事例集 No.65 - 993頁 相続税について、その申告書の記載内容について錯誤があるときには、錯誤による無効を主張できる場合があり得るが、それは、相続税法の定める申告及び修正申告、更正の請求等の制限の趣旨を考慮すると、当該錯誤が客観的に明白かつ重大であって、国税通則法等に定める是正方法以外にその是正を許さないとすると、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合に限り許されるものと解すべきである。 請求人は、Bが提出した本件申告書は、Bの錯誤に基づく無効なものであるから、本件申告に基づき確定した本件相続税額は不存在というべきであり、本件差押処分は違法である旨主張する。 しかしながら、[1]Bは法定相続分である7分の1の割合で遺産を取得した旨を本件申告書に記載していること、[2]被相続人の遺産のほとんどをKに取得させる旨記載された遺言書と題する書面があること、[3]Bは本件申告書に係る相続税の納付をしていないことが認められるものの、他方で、Bは当該書面の内容を争い、遺産の一部の帰属についての訴訟が係属中であることに照らすと、これら[1]ないし[3]の事情が認められるからといって、直ちにBの申告について客観的に明白かつ重大な錯誤がある場合に該当するとはいえず、また、他に納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情があるとは認められないから、請求人の主張には理由がない。 平成15年3月24日裁決 |
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