▼ 裁決事例集 No.76 - 521頁 請求人の顧客の請求人に対する債務について保証する本件滞納法人がその業務を廃止した場合に、その廃止日における累計保証料相当額を請求人がすべて収受する旨を定めた本件契約第9条の規定は、本件滞納法人が業務を廃止したときは、本件滞納法人による保証債務が履行されないこととなり、請求人に損失が生じることとなる一方、本件滞納法人としては、保証していた請求人の貸金債権の履行期限が到来するまで業務を廃止できないとすると、円滑に業務廃止の手続を進めることができなくなることから、本件滞納法人の業務廃止後における損害賠償債務又は保証債務の履行に代えて、本件滞納法人が累計保証料相当額の金員を請求人に交付することとし、その後の清算を要しないこととしたものと解され、本件累計保証料相当額の債務の履行により、本件滞納法人の業務廃止後における損害賠償債務又は保証債務が消滅するので、本件累計保証料相当額の債務が履行されたことによって、直ちに国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分があったということはできない。 しかしながら、同条にいう無償譲渡等の処分が広く第三者に利益を与える行為をいうものと解されることからすれば、本件滞納法人の業務廃止後における損害賠償債務又は保証債務の履行に代えて、本件滞納法人が請求人に対して支払うべきものとして必要な範囲を超えて履行された部分は、同条の無償譲渡等の処分によるものと解するのが相当であり、その必要な範囲は、本件滞納法人の業務廃止時における請求人の貸金残高に予想される貸倒率を乗じて算出される額とするのが相当である。もっとも、本件滞納法人の業務廃止に伴って請求人に生じた貸倒れの額が具体的に明らかである場合には、その額までの部分がその必要な範囲と認めることが相当であるから、本件滞納法人が請求人に対して負っていた本件累計保証料相当額の支払債務と請求人の本件滞納法人に対する借入金債務との相殺によって、請求人が本件滞納法人から債務の履行を受けたと同視できる額から本件滞納法人の業務廃止によって生じた請求人の貸金債権についての貸倒損失の額を控除した部分については、請求人が本件滞納法人から国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分により利益を受けたというべきである。 平成20年10月27日裁決 |
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