▼ 裁決事例集 No.74 - 478頁 請求人は、滞納国税を徴収できるC社からの家賃債権の差押え及びD社に対する貸付金を有している事実の確認を原処分庁が怠っていることから、本件各不動産の差押えは差押財産の選択を誤った不当な処分であると主張するともに、滞納税額と本件各不動産の評価額からみて、過大な差押えであると主張する。 しかしながら、滞納者に属する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるかについては徴収職員の合理的裁量に委ねられていると解されるところ、原処分庁所属の徴収担当職員は、請求人から当該家賃収入は全額銀行借入れの返済に充てられ手元に残らない旨の説明を受けたことから、当該家賃収入を差し押さえなかったものと認められ、また、徴収職員が差押処分をするに当たり滞納者の全財産を把握しなければならない旨の法令上の規定はないのであるから、本件各不動産の差押処分が、差押財産の選択についての徴収職員の合理的な裁量の範囲を逸脱したものとは認められない。さらに、原処分庁は、地価公示法により公示された標準地の価額を基に差し押さえた宅地の処分予定価額を算出するとともに、固定資産税評価額を基に差し押さえた建物の処分予定価額を算出しているところ、これらの処分予定価額は客観的な時価から借地権や借家権等による減額調整や公売の特殊性による減額調整を行って算出されたものであるから、相当であると認められ、これらの処分予定価額から滞納国税に優先する被担保債権額を控除した価額は、滞納国税に満たないと認められるから、超過差押えにも該当しない。 平成19年12月17日裁決 |
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