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▼ 裁決事例集 No.51 - 65頁
 請求人は、平成2年分土地(P市R町241田2,840平方メートル)の買主はN社で、譲渡収入金額は1億4,604万円及び平成3年分土地(P市S町1893田168平方メートル)の買主はE社で、譲渡収入金額は969万円である旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、請求人は、平成2年分土地及び平成3年分土地をいずれもT社に3億68万円及び1,670万円で譲渡したと認めるのが相当である。
【平成2年分土地譲渡】

 T社は、[1]平成2年6月7日K銀行e支店から引き出した6,155万円により作成した保証小切手2,900万円、現金3,100万円及びX社(仲介業者)が用意した現金100万円により手付金6,100万円を、[2]同年10月11日同支店から引き出した2億3,963万円により作成した保証小切手1億2,263万円及び現金1億1,700万円により残金2億3,968万円を支払っていること。
 上記[1]の保証小切手は請求人名義で裏書し、[2]の保証小切手はN社(平成元年2月6日銀行取引停止)名義で裏書してJ銀行a支店のN社名義の普通預金口座に入金された後、平成2年10月中にほぼ全額が引き出され、また、同普通預金口座の開設申込書(平成2年6月7日)には請求人の電話番号が記載されていること。
 N社の代表者は、調査担当者に[1]T社との売買契約書を作成したが、代金は受領しておらず、[2]売買交渉は請求人が行った旨申述していること。
 X社の代表者は、調査担当者に[1]平成2年6月8日に請求人とT社は、譲渡価額を3億68万円とする売買契約を締結して手付金を授受したが、[2]残金の決済時に売主名を請求人からN社への変更要望があり、[3]T社は渋ったが、平成3年分の土地の購入予定があったので、要望に応じた旨申述していること。
 X社の代表者は、審判所に[1]請求人が審判所に提出したX社の代表者に対する質問調書の内容は、請求人から何とか助けてくれとの依頼により署名押印したものであって、事実と異なる虚偽のものであること、[2]平成2年6月8日付の売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を3億68万円とする売買契約書は、平成2年10月12日の残金決済時にT社の代表者の目前で廃棄した旨答述していること。
 T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]X社を仲介業者として請求人と売買契約を締結し、手付金及び残金をいずれも請求人に支払い、領収書を受領したこと、[2]手付金を現金3,200万円、保証小切手2,900万円及び残金を現金1億1,700万円、保証小切手1億2,263万円としたのは、請求人からの強い要請によるものである旨記載されていること。

【平成3年分土地譲渡】

 T社は、平成3年12月18日K銀行e支店から引き出した1,670万円により土地代金を支払っていること。
 T社とX社との間で、[1]平成3年分土地の売買契約書の作成は、売主名が決まらないという請求人の事情により遅れていること、[2]売主名を空欄の重要事項説明書を送付するので、後日補完記載の上返送して欲しい旨の文書(平成4年1月14日付)があること。
 T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]平成3年分土地は、平成2年分土地に継続して請求人から購入したこと、[2]平成3年12月18日に売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を1,670万円とする売買契約を締結し、[3]同日全額現金で支払った旨記載されていること。
 X社の代表者は、調査担当者に[1]売主をE社、買主をT社とした売買契約書は、請求人から平成4年1月頃に売主名を請求人からE社に書き替えてほしい旨の要望があったので、[2]売主名を請求人からE社に書き替えた売買契約書をT社に郵送して差し替えた売買契約書である旨申述していること。

【重加算税】
 請求人は、[1]平成2年分土地をT社に3億68万円で譲渡したにもかかわらず、後日N社がT社に3億68万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、また、[2]平成3年分土地をT社に1,670万円で譲渡したにもかかわらず、後日E社がT社に1,670万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、当該売買契約書に基づき平成2年分及び平成3年分の確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条(重加算税)第1項に規定する仮装・隠ぺいに該当するので、重加算税の賦課決定処分は適法である。

平成8年3月4日裁決