▼ 平成30年5月7日裁決 《ポイント》 本事例は、代表者以外の役員が横領により法人の金員を不正に取得した場合に、当該役員が法人経営の実権を掌握し法人を実質的に支配していたとは認められないから、当該金員は当該役員に対する給与等には該当しないとして、源泉所得税等の納税告知処分等を取り消したものである。 《要旨》 原処分庁は、請求人の取締役(本件役員)が請求人から不正に取得した金員(本件金員)について、本件役員は請求人の業務において影響力を有していたと認められること及び経理業務の重要な部分を任されていたと認められることからすると、その地位に基づいて支給されたのであるから、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等に該当する旨主張する。 しかしながら、本件役員は、法律上請求人の業務執行等を決定する地位にあったとは認められず、事実上もそのような地位にあったことを認めるに足りる証拠はないのであって、本件役員が請求人の業務において影響力を有していたとは認められない。また、本件役員の職務内容についての申述などからは、本件役員が経理業務の重要な部分を任されていたとは認められない。したがって、本件役員が、請求人の経営の実権を掌握し、請求人を実質的に支配していたとは認められないから、本件役員がその地位及び権限に基づいて請求人から本件金員を得たものとは認められず、本件金員は、請求人が本件役員に支給した給与等には該当しない。 《参照条文等》 所得税法第28条第1項、第183条第1項 《参考判決・裁決》 仙台高裁平成16年3月12日判決(税資254号順号9593) |
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使用人兼務役員として勤務する会社の適格退職年金制度の廃止に伴い、年金信託契約の受託者から受領した一時金は、所得税法第31条に規定する退職手当等とみなす一時金では...
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親会社からの受入外人役員に支給した子女教育費について役員賞与であるとした事例
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裁決事例集 No.10 - 34頁
支給される子女教育費が、臨時的な給与であるかどうかは、受給者における使途とは関係なく、支給の実態により判断すべきところ、請求人が外人役員に対して支給した本件子女...
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取締役会長に支払われた役員報酬及び役員退職給与には、不相当に高額な部分の金額が含まれているとは認められないとした事例
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原処分庁は、請求人が取締役会長に支払った役員報酬の額及び退職給与の額につき、同人は長期入院のため通常の勤務ができなかったものであり、非常勤取締役と認められ...
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役員報酬の金額のうち、請求人と同種の事業を営み事業規模が同程度の類似法人の適正報酬額を超える部分の金額は不相当に高額であるから損金の額に算入されないとした事例
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請求人は、請求人の代表者の妻である役員Hは、請求人の重要な職務に常に従事し、請求人の業績に多大な貢献をしており、常勤役員に該当する旨主張する。
しかしな...
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請求人の代表取締役に対する役員給与の額のうち、同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるとした事例(平成...
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▼ 平成29年4月25日裁決
《要旨》
原処分庁は、請求人の同業類似法人における代表者に対する役員給与の最高額と比較すると、請求人の代表取締役(本件代表者)に対する役員給与(本件役員給与)の...
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役員給与の減額理由が業績悪化改定事由に該当しないから減額後の定期給与の額を超える部分は定期同額給与とはいえず損金の額に算入することができないとした事例
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▼ 平成23年1月25日裁決
《ポイント》
役員給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は、損金の額に算入されないこととされている。このうち、定期同...
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各役員への給与に係る支払債務は実際に確定し、請求人においてその支給事務が行われたのであるから、当該役員給与は架空のものとは認められないとした事例
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▼平成24年3月28日裁決
《要旨》
原処分庁は、請求人の役員であるJ、N及びP(本件各役員)に対する役員給与(本件各役員給与)について、役員給与を受け取っていない旨のJ及びNの申述などから、本件...
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期末に一括支給した役員報酬の増額改定差額は臨時的な給与であり役員賞与に該当するとした事例
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裁決事例集 No.23 - 146頁
請求人が当事業年度の取締役会において役員報酬を既往の月分にさかのぼって増額改定することを決議し、これに基づいて当事業年度末に一括支給した本件追加支給額は、役員...
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