TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る

共同開発契約に基づいて支払った負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果が1年以上に及ぶことから繰延資産に該当するとした事例(平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成26年4月1日から平成27年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却、一部取消し、平成30年10月10日裁決)


▼ 平成30年10月10日裁決

《ポイント》
 本事例は、企業会計においては、費用収益対応の原則がとられており、法人税法においても同原則が妥当するものと解されるところ、法人税法上の繰延資産は、費用を支出しても、それにより当該費用と収益の対応関係が即時的に完結せず、その後においても収益を生み出す性質を有する場合のその継続的な収益に着目し、複数年にわたり償却(損金算入)を行うという制度であるから、「支出の効果」についても同原則に照らして考慮すべく、「支出の効果」とは、費用収益対応の原則における「収益」の発生を意味するものであって、「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」というのは、費用収益対応の原則の下、当該費用の支出が1年以上に及ぶ継続的な収益を発生させる性質を有するものをいうと解するのが相当であるとしたものである。
《要旨》
 請求人は、製品の共同開発契約(本件契約)に基づき一方の契約当事者(本件当事者)に支払った負担金(本件負担金)について、本件契約の製品に係る大臣の承認(本承認)を得るために本件当事者から開示された資料等は、共同開発の成果であって請求人が自己開発したものと同様であること、また、本件負担金の支出には、本承認が得られないリスクがありその支出の効果がその後に及ぶものといえないことなどから、本件負担金は繰延資産に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件負担金の対象となる各業務は、本件当事者が担当する業務であり、ほとんどが本件契約の締結日までに完了していたことに加え、請求人は本承認の申請に必要なデータを本件当事者から取得し、本件契約の締結日から短期間で本承認の申請をしていたことなどから、請求人が当該共同開発の主体であったとみることはできず、本件負担金は、本件当事者が開発の過程で得た成果の提供という役務の提供を受けるために支出する費用であると認められる。そして、当該製品は現に製造販売されていることに加え、本承認の取得後5年ごとに大臣の調査を受けなければならないことなどからすると、本承認を取得した効果は少なくとも5年は継続するということができる。したがって、本件負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと認められるから、繰延資産に該当する。
 なお、平成27年3月期に繰延資産の償却超過額の損金不算入額が増加したことに伴い、平成28年3月期に繰延資産の償却超過額の前期からの繰越額のうち当期損金算入額が増加したことから、平成28年3月期に一部取消しが発生したものである。 

《参照条文等》
 法人税法第2条第24号
 法人税法施行令第14条第1項第6号ハ

《参考判決・裁決》
 東京高裁平成16年12月13日判決(税資254号順号9859)




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...60000.html

共同開発契約に基づいて支払った負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果が1年以上に及ぶことから繰延資産に該当するとした事例(平成25年4月1...


... ▼ 平成30年10月10日裁決 《ポイント》  本事例は、企業会計においては、費用収益対応の原則がとられており、法人税法においても同原則が妥当するものと解されるところ、法人税法上の繰延資産は、費用...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

新たに診療所を開設するに当たっての診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.46 - 31頁  所得税法第37条第1項に規定する「不動産所得、事業所得又は雑所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、事業所得に限れば「事業所得を生ずべき事業について生じ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

健康食品等の購入費用が、所得税法第73条に規定する医療費控除の対象とならないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.69 - 125頁  請求人は、当該支出が医療費控除の対象となるか否かについては、個々人の体質などの特殊性に応じて判断するべきであると主張する。  ところで、医療費控除の制度は...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

みなし寄付金の支出は単なる振替処理では認められず、収益事業から公益事業への区分経理をする必要があるとされた事例


... ▼ 裁決事例集 No.59 - 143頁  法人税法第37条第4項に規定するいわゆるみなし寄付金の場合、収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業に支出してこれにつき...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

請求人は、地方自治法上の財産区ではなく、人格のない社団等に該当すると判断した事例


... ▼ 裁決事例集 No.62 - 181頁  請求人は、地方自治法1条の2第3項に規定する特別地方公共団体の財産区(自治法上の財産区)に該当するから、その所有地の賃貸につき法人税の納税義務を負わない旨...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

得意先の板前に支払った分銭は交際費等に該当するとした事例


... 裁決事例集 No.5 - 43頁  請求人は、その得意先である各旅館等の調理部門の責任者である板前に支払った分銭(各旅館等に対する売上金額に一定率を乗じて算定した金額)は売上戻し手数料であって、交際...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

破産宣告後に土地を譲渡したことに係る土地重課税は破産法第47条第2号に規定する破産財団に関して生じたものに該当するとした事例


... 裁決事例集 No.23 - 214頁  請求人は、土地重課は国の土地政策の一環として設けられたもので、破産債権者にとって共益的な支出に当たらないから財団債権に当たらないと主張するが、破産法第47条第...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90100.html

請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例


... ▼ 裁決事例集 No.58 - 180頁  請求人は、振興協会に対する出捐金について、[1]振興協会は請求人らが便益を受けるために出捐金を支出して設立した財団法人であること、[2]振興協会の事業のす...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30100.html

土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦...


... ▼ 裁決事例集 No.49 - 347頁  請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、土地及び建物を一括譲渡した場合の土地の譲渡価額はその不動産売買契約書の特約条項欄に売買金額の内訳として記載されて...

詳細を表示する