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▼ 裁決事例集 No.72 - 119頁
 請求人は、事業所得であるというためには、「給付」をなす者に対する「役務の提供」という対価関係があることが必要であるところ、本件援助金は、請求人と弁護士会の間に役務行為が存在しない対価性のない無償行為に対して支払われたものであるから、一時所得に該当する旨主張する。
 ところで、所得税法第27条第1項に規定する事業とは、自己の計算と危険において利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動のことをいうと解され、そして、同条項が事業所得を「事業から生ずる所得」と規定しているのは、事業が総合的な活動であることに着目して、本来の事業活動による収入のほかに、事業の遂行に付随して生ずる収入も事業所得の総収入金額に含める趣旨と解するのが相当である。
 また、一般に弁護士の弁護士業務に係る所得区分は事業所得であると認められる。
 これを本件援助金についてみると、請求人は、国選弁護人として弁護士会の推薦を受け、裁判所から選任され、被告人の弁護活動を行うことでその支払を受けたこと、請求人は、弁護士会に本件援助基金規則に基づき援助申請を行い、弁護士会の「刑事弁護援助基金支払証書」には「刑事被告人の弁護費用として金75万円支出する。」旨の記載があること、弁護士会は、国選弁護人としての遵守事項を定め、また、当該事件についての報告を求めるなど、請求人が行った弁護活動について極めて密接な関係を持つものであることなどからすると、本件援助金は、弁護士活動に付随して生じた収入ということができ、事業所得の総収入金額に含まれると解するのが相当である。
 したがって、本件援助金は、事業所得に該当すると認められることから、一時所得には該当しない。
平成18年9月21日裁決




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