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▼ 裁決事例集 No.77 - 256頁
 租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の4第1項本文のかっこ書により本件特例が適用されることとなる同法第33条第3項第2号の規定は、同号の規定に該当する場合にあっては、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について、収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしているものと解されることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは、正に、収用されることとなる土地自体の上にある資産を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。
 ところで、土地が収用等をされた場合、その上にある建物等に対して交付される補償金には、その取壊し又は除去により生ずる損失の補償として交付されるものと、その移転に要する費用の補償として交付されるものとがあるが、建物等の取壊しによる損失補償金は、措置法第33条第3項第2号の規定により本件特例の対象となる補償金とみなされるのに対し、建物等の移転補償金については、このような特別の規定はなく、現実に建物等を取り壊した場合であっても本件特例の適用がないことになり、実情に即さないところがあることから、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう同号の規定との課税の公平をも図る趣旨から租税特別措置法関係通達(以下「措置法通達」という。)33−14が定められているものと考えられる。したがって、この措置法通達の取扱いが定められた趣旨からすると、措置法通達33−14に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、措置法第33条第3項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある建物又は構築物を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある建物又は構築物をいうものと解するのが相当である。
 本件建物移転補償金は、本件事業の施行により本件土地及び本件国有地が道路用地とされたことに伴い、A社のガソリンスタンドの用に供されていた本件建物について、その移転に要する費用として補償されたものではあるが、本件事業により収用されることとなる土地又は土地の上に存する権利は、本件土地のみであり、本件土地の上には、本件建物を含めガソリンスタンドの用に供されていた既存の施設等はなかったものと認められる。
 すなわち、本件建物移転補償金は、土地の収用等に伴って支払われた補償金ではあるものの、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用を補償したものであると認められ、収用されることとなる本件土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人が主張するように、本件建物が本件土地を含むA社のガソリンスタンドの敷地と一体として使用されていたことのみをもって、本件特例を認める余地はないというべきである。
平成21年5月25日裁決




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