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賠償事例 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

事前確定届出給与の提出失念により過大納付法人税額が発生した事例 (保険金が支払われなかった事例)

【概要】
 税理士が依頼者より事前確定届出給与に関する届出書(以下、届出書という)の提出依頼を受けたが、その届出書の提出を失念してしまい、過大納付法人税額を発生させたとして依頼者から損害賠償請求を受けた。


【詳細】
事故発覚の経緯
●申告後に税務署からの問い合わせを受け、届出書提出失念の事実が発覚した。

事故の原因
●依頼者より届出書の提出依頼を受けたが、後日作成しようと思いすぐに対応しなかったため、そのまま提出を失念してしまうことになった。税賠保険における判断(保険金支払対象外と判断した理由)
●賠償請求後に、税理士が改めて要件の確認をしたところ、該当の賞与は前期のいわゆる決算賞与として支給されたものであることが判明した。この決算賞与は、職務執行期間開始の日から1月を経過する日後に支給額が確定するものであることから、そもそも損金算入のための要件を満たさないものであったため、保険金支払の対象外と判断された。
●事前確定届出給与として損金算入をするためには、職務執行期間開始の日から1月を経過する日とその開始の日の属する事業年度開始の日から4月を経過する日とのいずれか早い日など一定の日までに届出書を提出する必要がある。いわゆる決算賞与は、職務執行期間が終了した後に支給の決議をすることから、損金算入の要件を満たさないことが多い。本件のように賠償請求を受けたとしても改めて慎重に要件の検討を行うことが必要である。