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賠償事例 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2016年7月1日~2017年6月30日) | 日税連保険サービス

交際費等の損金算入限度額の選択を誤ったため法人税等が過大納付となった事例

【概要】
税理士は、依頼者の法人税確定申告書を作成する際に、交際費等の損金算入額について、定額控除限度額を適用して確定申告書を提出した。しかしながら、申告書提出後において、交際費等の損金算入額について定額控除限度額ではなく、支出接待飲食費損金算入基準額を適用した方が依頼者にとって有利であることに気付いた。

税理士が支出接待飲食費損金算入基準額の提供を行わなかったことによる法人税等の過大納付額について、依頼者から損害賠償請求を受けた。


【詳細】
交際費等の損金不算入額の計算において、原則として交際費等はその全額が損金不算入となるが、一定の金額が損金算入される措置が設けられており、損金算入される金額について、大法人による完全支配関係がある普通法人等以外で期末の資本金が1億円以下の法人(以下、中小法人という)については、定額控除限度額と支出接待飲食費損金算入基準額のうち、いずれか有利な方法を選択適用することができる。依頼者は中小法人に該当していたが、税理士は有利不利の検討は行わずに定額控除限度額を適用した。

税理士が有利不利の判定を行っていれば損害が発生しなかったと考えられる本件において、有利不利の検討を怠ったことは税理士の責任と判断され、過大納付税額約950万円から税効果による回復額を差し引いた約900万円を認容損害額とし、免責金額30万円を控除した約870万円が保険金として支払われた。