▼ 平成29年7月26日裁決 《ポイント》 本事例は、歯科矯正治療費に係る事業所得の総収入金額に計上すべき時期について、請求人と患者との契約実態などを踏まえた上で矯正装置の装着時とするのが相当であるとしたものである。 《要旨》 請求人は、歯列矯正治療に係る治療費(矯正診療費)の事業所得に係る総収入金額の計上時期について、矯正装置の装着等の時に患者(本件各患者)に対し、治療費用等を請求する旨が記載された書面(本件書面)を交付しているものの、本件書面は、矯正診療費の総額などを示して患者の便宜を図るために交付するものにすぎず、本件各患者に対して矯正診療費の支払を請求するものではないことから、当該矯正診療費を一括又は分割により支払を受けたそれぞれの日である旨主張する。 しかしながら、歯列矯正治療は、通常数年の治療期間を要すること、請求人の歯列矯正治療に対応する中核的な治療は矯正装置の装着であることに照らすと、請求人と本件各患者との間の契約の実態も踏まえて、収入の原因となる権利の確定時期を決するべきであるところ、請求人は、本件各患者が矯正診療費の金額、予定治療期間及び治療上の注意事項を承諾した後に、本件各患者に対し矯正装置を装着していること、本件各患者の矯正診療費が治療開始後の本件各患者都合により返却されることはないことなどからすれば、請求人は、本件各患者の治療開始時、すなわち、矯正装置の装着時に本件各患者の矯正診療費の全額について請求する権利を有しているものと認められる。したがって、本件各患者に係る矯正診療費の事業所得の総収入金額に収入すべき時期は、矯正装置の装着時とするのが相当である。 なお、矯正診療費に係る収入すべき時期の認定に一部誤りがあったことから一部取消しとなった。 《参照条文等》 所得税法第36条第1項 |
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