TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 令和2年2月19日裁決
《ポイント》
 本事例は、請求人が、事業所得の金額を正確に把握していたにもかかわらず、収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した所得税等の確定申告書を長年にわたり継続的に提出し続け、調査の際にも、調査担当者に対し、帳簿書類の存在を秘し、事後的に作成した虚偽の帳簿書類を複数回提示したことなどが認められ、これらの一連の行為によれば、請求人は、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

《要旨》
 請求人は、確定申告書に誤りがあったのは勘違いや集計誤りを原因とするものにすぎず、故意に多額の所得を脱漏したのではなく、また、請求人に対する調査(本件調査)の際に請求人の行う事業(本件事業)に係る帳簿書類を隠したこともないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件事業において収入に係る帳簿書類の作成・保存、経費に係る支払、収入が入金される口座の管理等を自ら行うなどしていることからすれば、事業所得の金額を正確に把握していたといえ、それにもにもかかわらず、請求人は、7年もの長期間にわたって収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した確定申告を継続的に提出し続けていたものと認められる。そして、請求人は、調査に際しても真実の総収入金額が容易に判明する帳簿書類の存在を秘しただけではなく、事後的に虚偽の帳簿書類を複数回作成し、本件調査の担当者に提示するなどしており、このことは真実の所得の調査解明に困難を伴う状況を作出し真実の所得金額を隠蔽しようという確定的な意図の下に、隠蔽のための具体的な工作を行い、真実の所得金額を隠蔽する態度、行動をできる限り貫こうとしたと評価せざるを得ない。以上のような請求人の一連の行為によれば、請求人が、当初から所得を過少に申告する確定的な意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告をしたような場合などに該当する。


《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項及び第2項

《参考判決・裁決》
 最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決(民集48巻7号1379頁)
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30200.html

当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を...


... ▼ 平成28年7月4日裁決 《ポイント》  本事例は、事業所得を秘匿した内容虚偽の所得税の確定申告書の提出など、当初から所得を過少に申告することを意図して行われたものと認められるものの、請求人が事業...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

現金主義による所得計算の特例(所得税法第67条の2)を適用して事業所得の計算をした者が発生主義による所得計算と比較して税負担が不利益になるという理由による更正の...


... 裁決事例集 No.33 - 1頁  現金主義による所得計算の特例の制度は、小規模な個人事業者のうちには発生主義によって所得金額を計算することになじめない者が多く、青色申告の帳簿書類の簡素化とあいまっ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

請求人が調査手続の違法のみを争った事件で、処分の内容も審理し、所得税の更正処分の一部及び重加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例


... ▼ 裁決事例集 No.47 - 56頁  調査担当職員の行為は、社会通念上合理的な裁量の範囲を逸脱したものとは認められないから、質問検査権の範囲を逸脱したものではなく、請求人の主張は採用できない ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30100.html

当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期...


... ▼ 令和2年2月19日裁決 《ポイント》  本事例は、請求人が、事業所得の金額を正確に把握していたにもかかわらず、収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した所...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

原処分庁による推計計算の過程で、その採用した類似同業者の抽出基準に該当しない者が類似同業者として選定されていたため、更正処分の一部を取り消した事例(平成24年分...


... ▼ 平成30年12月13日裁決 《ポイント》  本事例は、原処分庁が請求人の所得金額を推計計算する過程で採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有してお...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例(平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分、平...


... ▼ 平成30年4月19日裁決 《ポイント》  本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を同業者比率方式に基づき推計により算定したものの、採用した同業者の中に抽出基準に該当しない者が含まれていた...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30200.html

請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又...


... ▼ 裁決事例集 No.59 - 47頁  原処分庁は、請求人の木材輸入取引について[1]請求人の輸入先会社に対する送金は、木材の輸入時期、数量、金額のいずれとも密接に関係しておらず、その実質は「貸付...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人の帳簿書類の備付け及び記録の不備の程度は甚だ軽微であり、申告納税に対する信頼性が損なわれているとまではいえないことから、所得税法第150条第1項に基づく青...


... ▼ 平成22年12月1日裁決  原処分庁は、請求人は、原処分庁所属の調査担当職員に、不動産所得に係る帳簿は作成していないとして現金出納帳を提示しなかったことから、現金出納帳を備え付けていないものと認...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20200.html

建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認めら...


... ▼ 裁決事例集 No.45 - 9頁  請求人は建造引当権に関する国税庁長官通達は法令に当たらず、請求人において不知のものであったから過少申告をしたことにつき通則法第65条第4項の「正当な理由」があ...

詳細を表示する